ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□File4
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「そうよ。馬二頭でいったわ」
タバサは使い魔のシルフィードを口笛で呼ぶと、呼び出されたシルフィードは窓際まで来てくれた。
「馬二頭、食べちゃダメ」
二人はシルフィードに乗り、トリスタニアまで飛んでいった。

その頃、王都トリスタニア。いかにも中世ヨーロッパ時代らしく見える町並みが目の前に拡がっていた。
「へえー、ここがトリステインの城下町かあ」
「そっ、ブルドンネ街はトリステインで一番大きい通りよ」
「狭いんだなあ」
自慢気に胸(無いけど…)張るルイズだが、サイトの予想外の感想にコケそうになった。
「俺の世界の都市はこれの何倍かはあったぞ。道の幅も」
「どんな街よ…」
そんなサイトの言ってることが本当なら、ルイズから見れば想像もつかない。
「まあいいわ。それより上着の中の財布に気を付けなさい。スリが
多いから」
「色々な形の看板があるんだな」
見たところ看板には、本の形をしたものもあれば、魚の形をしたものもある。
「字の読めない平民も多いからね」
「俺看板見てもなんの店かわかんね〜な」
おどけたような口調でサイトは言った。
「迷子になっても知らないわよ」
しばらくして、ルイズたちは裏道に来た。
その裏道の臭いは酷かった。しかもその臭い通りゴミもばら蒔かれ、汚い以外に何を言えばいいかわからない。サイトは鼻を抑えていた。
「汚いな…ゴミ拾いのボランティアとかないのか?」
「ぼら…?まっまあとにかく!私だって来たくないわよこんなとこ。あんたの剣を買ってやるんだから黙って着いて来なさい」
二人は武器屋に入った。扉についていたベルの音に反応し、店の奥からネズミ顔の店主がひょいと顔を出した。
「いらっしゃい。
あら、貴族様でございますか」
武器屋の店主はルイズの羽織ってるマントを見て急にかしこまった。
その様子からだと、マントは貴族にとって必須用品のようだ。
「使い魔に持たせる剣を買いに来たのよ。私は剣のことなんかわか
らないから立派なものを適当に選んでちょうだい」
「最近貴族のお客様が多いですね。なんたってある盗賊が街を荒らしているそうなので…」
「盗賊?」
「へい。確か『土くれのフーケ』だそうです。貴族様の貴重な宝を次々に盗んでおるのです。どんな壁も扉も土系統の魔法で土にかえるのでそう呼ばれておりますぜ」
「ふぅん、それより何かないの?」
ルイズは興味無さそうに話を進める。
(へへ。鴨が。高く売り付けてやる)
一瞬店主が腹黒い表情を浮かべたが、サイトとルイズは気づかなかった。
「すいやせん。無駄話を…そうですね…」
店主は武器庫を探って…立派な大剣を出した。金そのものでできてるようで、ライオンの顔の彫刻が彫られている。
「ゲルマニアの高名な錬金術師が鍛えた業物です。鉄も簡単に斬れますぜ。エキュー金貨で2000、新金貨で3000で」
その値段は、ハルケギニアの人間にとって、雲を掴むようなものだった。
「なにそれ!立派な家と森つきの庭が買えるじゃない!!」
「買えないのか?ちょっと気に入ったんだけどなあ…」
名残惜しげにサイトはその金の剣を眺める。
「生意気言うんじゃねえ坊主。おめえめたいな素人にゃ棒切れがお似合いさ」
突然どこからか、少し年増の男の声が聞こえてきた。
「だ、誰だ?」
「やいデル公邪魔すんじゃねえ!静かにしろ!」
店主が、剣がたくさん入っている樽に向かって怒鳴った。
「もしかして……」
サイトはその樽の中から、適当に剣を探った。
「あ、ボウズ。俺だ」
その声の主は、サイトが自分を探していることに気がつき、サイトに呼び掛ける。
その声の導きで取り出したのは、すごく古い、錆び付いた剣だった。
「意思を持つ魔剣、インテリジェンスソード?」
ルイズはサイトの手に取った剣を覗き込む。
「おう、当たってるぜおじょーちゃん」
喋る剣は、口代わりにカタカタと金具を動かして喋っている。
「お前が喋ってたのか?名前は?」
「俺っちはデルフリンガー様だ。ん?」
デルフリンガーはサイトの左手にあるルーンを見ると、驚きの声をあげた。
「おでれーた。おめえ『使い手』か?」
「使い手?」
「なんだ知らねーのか?まあいい。俺っちもわかんねえし」
(何だったんだよ…)とサイトはデルフリンガーの意味不明な発言
に首を傾げたが、この喋る剣がなんとなく気に入っていた。
「そうだな…ルイズ、これがいい」
「ええ!?こんな錆びた剣?」
ルイズは目を丸くした。他にも錆びてないキッチリした剣があるの
に、この使い魔(または犬?)はこのおかしな剣を気に入ったのか?
「俺はサイト、平賀サイトだ」
「サイトか、よろしくな。相棒。俺っちのことはデルフで構わねえ
ぜ」
「おう!」
二人は店を出て中央広場に来た。
「その錆びた剣のどこがいいのよ」
「喋る剣なんて面白れーじゃん。それより腹減ったな。飯食わね?
そろそろ昼だろ?」
「そうね。どこにしようかしら?」
「サイトさーん!」
そこに私服姿のシエスタが走ってきた。
「シエスタ?何でここに?」
「新しい食材を買いに来たんです。それよりお腹すいてませんか?
おすすめのお店があるんですけど」
「いいの?ありがとうシエスタ!」
「ちょっと、勝手に決めないでよ!どうするかは私が決めるの!」
と、その時だった。
凄まじい爆発音が町中に鳴り響いた。
「なっなんだ!?」
「なっ、何よ!?何事!?」
その爆発音と共に現れたのは、巨大なナメクジ型の怪獣だった。そ
れだけではない。二つの犬の頭に腹に化け物の顔がある、地獄の番犬ケルベロスを模した怪獣もいる。
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