ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□無印編(ゼロ)/File0
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その夜、サイトはルイズの部屋で質問攻め。聞きたいことだらけだ。
この世界は(正確には大陸)ハルケギニア。貴族と平民の格差社会
が展開されており、貴族たちは魔法を使うことが可能でメイジと呼
ばれている。
まさか…ここは地球じゃ…と思ったサイトは地球で知らない者はい
ない単語を次々と言った。
携帯
パソコン
GUYS
そして…
ウルトラマン
だが、ルイズの反応は…
「はあ?あんた何言ってんの?」
信じられなかった。ウルトラマンを知らないと言うことは、ここは
地球ではない。
「じゃああんたはこの世界じゃなくてチキュウとかいう世界の人間だと言うの?」
「ああ」
「信じられない。そんな魔法もないのにやっていける世界があるわけないじゃない!」
「嘘ついたってしょうがないだろ。で、ルイズだっけ?俺を早く地球に帰してくれ」
「無理。サモン・サーヴァントは呼び出すだけよ」
呼び出すだけ?
「じ……っえじゃあ俺はお前に一生奴隷同然にこき使われるのか?」
「当たり前じゃない。せいぜい感謝することね」
「いや、ちょっと待ってくれよ…冗談だろ…」
絶望。それがサイトの心を飲み込もうとしていた。
「母さんや高凪さんに…もう会えないってのかよ…」
「家族?別にいいじゃない。貴族、しかもヴァリエール家の公女で
ある私に支えれるのよ。感謝しなさい」
サイトはルイズを睨らみながら彼女の肩を掴んで喚きだした。
「謝りもしないのかよ……お前は俺から大事なものをすべて奪いや
がったんだぞ!」
「平民の癖に生意気言うんじゃないわよ!あんたは黙って私の命令
に従っていればいいのよ!!」
「生意気はどっちだよ!?このクソガキ!!」
「くっクソガキですってええ!?」
ルイズだって国でもトップに近い貴族の家系の出だ。それなりのプ
ライドをもっている。サイトのクソガキ発言はあまりにも腹ただし
いものだった。
その時、ルイズの部屋のドアが開いた。
「ルイズ、さっきからうるさいわよ!夜ぐらい静かにしなさいよね」
昼間にもいた、あの赤毛の女子生徒だった。
「うるさいわねキュルケ。こいつが使い魔であるのを認めないのがいけないのよ」
「…」
サイトは身を震わせながら顔を俯かせていた。
「あら、どうかしたの?」
キュルケはサイトの顔を覗き込んだ。彼は少し泣いていた。
(二度と会えないってのか…母さんにも、高凪さんにも…くそ!)
「る…ルイズ、あんた何をしたの?」
「何って、そいつ訳もわからないこと言ってるのよ。家族やどうこう…。貴族に支えられるのを全く光栄に思わないのよ。それで泣きべそなんて、使い魔の癖に情けないわね」
「あんた、使い魔や平民をそんなふうに見てたの?授業で何を習ってたのよ?」
使い魔はあくまでも主人のパートナーで奴隷ではない。平民だって
人間だ。貴族でもそれなりの節度を知って接するのが鉄則だ。
「魔法もダメなだけでなく、そんな常識も忘れたなんてやっぱりゼロのルイズねえ」
キュルケはそう言って部屋を出た。彼女が直後、ルイズは歯をむき出しにしてキュルケの出て行った扉を睨みつけた。
「きぃーーーームカつく!!」
「…俺はどこで寝ればいい?」
サイトは目を擦ってルイズに尋ねる。ルイズはぶっきら棒にベッドの近くの床の藁を指差した。
(結局こんな扱いかよ…)「で、何してるのお前?」
ルイズは突然服を脱ぎだした。
「何って寝るから服脱いでるのよ」
「ふっふしだら過ぎだろ!服を着なさい!お父さんは許しませんよ!」
「使い魔に見られたってなんとも思わないわよ。」
「じゃあ、じっくり観賞させてもらってもいいってことか?」
ほんの些細な復讐だった。
「………」
しばらくの沈黙、サイトはルイズの着替えをわざとらしく観察した。
「…あーもう!!じろじろ見てんじゃないわよ!!」
ルイズはさすがに我慢できず、サイトを部屋から追い出した。
「最初っからそうしろよ…たく」
サイトは呆れかえりながらも壁に寄りかかった。
「ああ〜早く帰りてえ…」
しかしその願いはかなわず夜は更けていった。
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