ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□無印編(ゼロ)/File0
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「我が導きに答えなさい!!」

爆発。
トリステイン魔法学院の二年生ルイズは何度も失敗している。
小さい頃からずっとだ。
父も母も、二人の姉たちも魔法に関してまさに秀才と言える存在。だが、自分だけ失敗だらけだ。
そのせいで父には「さっさと婿をとれ。無理して魔法を学ぶ必要はない」と言われ、使用人たちの陰口で哀れに思われ、学院では同級生にバカにされている。
それでついたあだ名は…

「な〜にやってんだよ『ゼロのルイズ』!」

成功率「ゼロ」のルイズ。

「う、うるさいわね!今度こそ成功させてやるんだから!」

ルイズは再び呪文を唱える。絶対成功させてやるんだから!もう誰にも『ゼロ』だなんて呼ばせない!

「わが導きに応えなさい!」

彼女は杖を掲げ、魔法陣を展開する。そして杖を剣のごとく振り下ろした。

またしてもただの爆発。
いや、煙の中に人がいる。

「や、やったわ!成功よ!」

やっと成功したのだ。今まで失敗しかなかった自分が、やっと成功させたのだ。周りの生徒たちはざわついている。あのゼロのルイズが成功させたのか!?と驚いていた。

(ドラゴンかしら?それともグリフォン?)

大きな期待を抱くルイズだが、その期待は残酷なほどズタズタに引き裂かれた。

「痛ってえ…なんだ?何が起こった?」

さっき謎の発光体に吸い込まれたサイトがそこにいたのだ。

(ひ、人?)

ルイズは恐る恐る近づいてみた。

「あんた誰?」

気がつくとサイトは見たこともない場所にいた。目の前には桃色髪の少女がいて、他にも人がたくさんいる。

「誰って、俺は平賀サイト」

「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」

「何あれー!!」

「さすがゼロのルイズ!!」

ドッと笑い声が響く。

「違うわよ!こんなのが私の使い魔なわけないじゃない!ちょっと間違えただけよ!」

「ルイズはいつもそれよねえ」

(こくっ…)

同級生と思われる赤毛の女性はまだ笑っている。
その隣にいる青髪の少女は黙ったまま頷いていた。

「ミスタ・コルベール!もう一度やり直させて下さい!!」

ルイズはコルベールと呼ばれた頭の光る中年の教師に抗議するが、彼は首を横に振った。

「これは伝統かつ神聖な儀式なんだ。やり直すなど儀式を冒涜する事なのですぞ。きっちり召喚した以上彼が君の使い魔だ。
さあ儀式を続けなさい。次の授業が始まります」

「…わかりました」

ルイズは諦め、しぶしぶ頷いた。

「なあ、ここどこだ?」

サイトはルイズに尋ねる。

「あんた、感謝しなさいよね。平民が貴族にこんなことしてもらうことなんて一生無いんだから」

「は?」

ルイズはサイトの前に立って、杖を向ける。

「五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え我の使い魔となせ」

ルイズはサイトの顔を両手でつかむ。

「おい!何をする気だ?」

「いいからじっとして!」

「んぐ!?」

サイトは唇を奪われた現状を全く理解できず、急いで口をふく。

「いきなり何するんだ!?俺のファーストキス奪いやがって!!」

「うるさいわね!私だってあんたとなんかキスしたくなかったわよ!」

ルイズは逆ギレする。

(なんて生意気な女なんだ…チクショウ、高凪さんにとっておいたファーストキスが…)

握りこぶしを悔しそうにつくるサイト。すると、彼の左手に焼けるような熱が走り出した。

「ぐっああああああ!?アチい!!」

「使い魔のルーンが刻まれるだけよ。騒がしいわね」

痛みが引くと、古代文字のようなものが彼の左手の甲に刻まれていた。

「ルーンだと?俺に何をした!」

「君、ちょっといいかい?」

コルベールはサイトの手の甲を見ると、そっくりそのまま紙にスケッチする。

「ふむ、これは珍しいルーンだな」

「では儀式はこれで終了です。各自次の授業の準備をするように」

「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」

生徒たちは空へ飛んでいった。

「飛んだ!?何で!?どうやって!?」

「何してるの?メイジが空飛ぶの当たり前。さあ私たちも帰るわよ」

「じゃあお前、飛ぶのか?」

「いいからついてきなさい!!」
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