-4

□File4
1ページ/2ページ

「おお、グレイじゃないか!!」
ペンドラゴンからヒュウガの、再会を喜ぶ声が上がる。対するグレイも笑顔になっている。
「お待たせ!こっからオイラの出番だね」
彼は続いて、ヴィットーリオとジョゼットの方に視線を向けた。
「教皇さん、ジョゼット、それに皇太子さん。怪我はないかい?」
「は、はい。助かりましたグレイ殿」
「グレイ君、ありがとう!」
「君が来なかったら、今度こそ僕はアンと離れ離れになっていたな。助かったよ」
続いて、ジュリオもリトラの背に乗ってグレイの元に寄ってきた。
「君のおかげでジョゼットは助かった。ありがとう」
「なんかあんたに例を言われるとくすぐったいな…」
照れくさそうにグレイは頭を掻いた。
「悪いみんな、遅れちまった」
ゼロも仲間たちに対して頭を下げ、頭を掻く。
「遅いわよこの馬鹿犬!!」
ジャンナインの内部にいるルイズからは厳しい一言が飛んできて、思わずゼロは苦笑いした。ハルナもくすくすと笑いをこらえていた。
「平賀君、無事でよかった」
「ああ、さて…」
ゼロとグレイはデスレムとグローザムの方に向き直る。
「ゼロ、あの四天王たちはオイラに任せてくれよ」
「お前一人でどうにかできる相手じゃないんじゃないか?特にグローザムは、親父とメビウスが苦戦した相手だ」
エンペラ星人が地球を侵略しようとする際、デスレムとグローザムはメビウスに戦いを挑み、破れている。手口はなんであれ、彼らが強敵であることに変わりはないのだ。
「大丈夫、ボスと協力して倒す。その方法があるから安心して」
と、ちょうど新たに怪獣や、レギオロイドが数体彼らの前に姿を現した。百体の怪獣を操るギガバトルナイザー、それらにまだ余裕があるようだ。
「わかった。ならあいつらは俺に任せてくれ!」
「頼んだよ、ゼロさんよ!」
「ああ。ハルナ、ルイズ、それにジャンナイン。いけるよな?」
「うん、いけるいける!」
「ええ、いつでも私の魔法でやっつけることができるわ」
『無論だ』
『ジャンナイン、気をつけろよ』
寄ってきたジャンボットが、弟を心配した様子でジャンナインに言う。
『兄者もな』
「アスカさんとグレンは…ってあなたたちは聞くまでもなかったな」
「おいおい、尋ねてくれよここは」
「この流れなら俺様たちにも一言言ってくれよ!」
ダイナとグレンはちょっと不満げに言う。確かに言うまでもなく助力してくれるのが目に見えているが。
「おしゃべりする暇などありましたかね?」
紳士的な言葉を吐きながらダークゴーネが迫ってきた。その視線の先に、ジャンボットが映っている。
「あなたの体内、かなり膨大なエネルギー鉱石がセットされておりますね。そのエネルギー、私のものにさせていただきましょう」
『貴様にそれが出来るかな?アリィーよ、準備はいいか?』
「ああ。どうせ戦うことになるって思っていた。できてるよ」
ジャンボット内部で構えを取るアリィー。それに呼応してジャンボットも同じ構えを取った。
「くくく…これはちょうどよかったぜ…ミラーナイトぉ…」
アイアロンは状況がド虎かと言えば悪くなったというのに、なぜか満足げに笑っている。その不気味な笑い声にミラーナイトはすこし背筋をこわばらせた。
「貴様の顔、よく覚えてるぞ…貴様がアンリエッタとやらとの結婚式の夜、現れた怪獣のことを覚えているか?」
「!」
もう一度アイアロンの姿を確信するミラーナイトは、彼の一言であることに気がつく。
ミラーナイトとして最初に戦った鋼鉄の怪獣『アイアン』にそっくりだ。
「あの時の怪獣だったのか!?」
「そのとおりよ…あの時の借りをようやく返せるってもんだぜ。行くぞ…ぶるああああああああああああああ!!!」
アイアロンは凄まじい唸り声を上げて襲いかかってきた。

「行け、ゴルザ、バモス!」
グレイの召喚したゴルザとキングバモスが、デスレムとグローザムと凄まじい攻防を繰り広げていた。
〈超音波光線!〉〈エレクトロックスパーク!〉
「グガアアアアア!」「グオオオオオオオ!!」
「ぐおおおあああ!!!」
デスレムとグローザムはゴルザの攻撃を受けて爆発四散し、今度こそ絶命した。だが、グローザムに至っては、体がバラバラにされたにもかかわらず、まだ生きていた。さすが不死身を名乗るだけのことのある。
「たかが人質を取れないと戦えぬバカ者を倒したくらいでいい気になっているのではないか?俺は不死身だと言ったはずだ」
彼はそう言って、自分のバラバラになった破片をひとつに集めていった。だがその時、突然メルバがグローザムの上空から飛来してきた。
「メルバ、今だ!」
〈ブリザードアイス!〉
メルバの口から強烈な冷凍波が噴射、グローザムは完全に再生する前に足元からみるみる一に氷山の中へ閉じ込められ、氷の彫像となってしまった。
「な…何をする気だ!?」
驚くグローザムを尻目に、グレイは指をパチンと鳴らす。
「ボス、みんな。今のうちにアンカー射出!」
「了解!オキ、アンカー射出!」
「僕らも彼の指示通りに!」
グローザムが自分の氷山の外を見上げると、そこにはペンドラゴンだけでなく、ギーシュが新たに搭乗したマットアロー・マリコルヌのXIGファイター、ギムリとコルベールが乗るジェットビートル、レイナールのウルトラホーク三号からアンカーが射出、グローザムの閉じ込められた氷山に突き刺さった。
「言った通りのポイントにグローザムを運んで!絶対落とすなよ!」
やがていくつもの地球の飛行兵器によって、グローザムの入った氷山は運ばれた。それを監督すべく、グレイもメルバに乗って同行する。
「ど、どこへ連れて行く気だ!」
やがて一分ほど経過した後、グローザムはいい加減苛立った様子でグレイたちに怒鳴る。ふと、グレイの顔が異様に二ヤッと不敵な笑みを浮かべてることに気がついた。どこか遠くを眺めている。
その先にあるものを見て、グローザムは青ざめた。
その先にあるのは、凄まじく燃え盛った『火竜山脈』の火山だった。ぱっくり頂上に口を開け、その奥にドロドロの熱いマグマを噴きながら。
「ま、待て!やめろ!」
自分にとって唯一の弱点、それはやはり高度に高度な熱。以前メビウスと戦った時も、彼らの攻撃で体を砕かれ質量が小さくなったところで、灼熱の熱風を浴びせられて死んだ。
今回は、より確実にするために自分を氷の中に閉じ込めて身動きを封じ、そして火口に突き落とす。それがグレイの作戦だったのだ。
「よし、降下!!」
「やめろおおおおおおおおおお!!!」
グレイが降下を仲間たちに命じた時、命乞いをしてが聞こえるはずもなかった。
アンカーを切り離され、グローザムを閉じ込めた氷山は真っ逆さまに火竜山脈の加工に落ちた。
「ぎゃああああああああああああああああああああ………」
火口のマグマへ落とされ、断末魔を上げるグローザム。その時、彼は自分を見下ろすグレイを見て、さらに恐怖を感じた。
グレイの顔は、まるであのベリアルと同じ雰囲気を漂わせる、悪魔のような笑みに変わっていた。
「悪さばっかするから、こうなるんだよ。さよなら」
やがて、グローザムはマグマの中へ完全に消え去っていった。
〈ワイドゼロショット!〉〈ソルジェット光線!〉〈ファイヤーストライク!〉〈ジャンバスター!〉
ゼロたちは、襲い来る怪獣軍団やダークロプス、レギオロイドたちに向けて必殺光線を連発した。だが数が多すぎてキリがない。
「くそ!キリがない!」
「あの要塞にいる親玉を倒す必要があるな、やはり…」
親玉を倒す。やはり、あのマレブランデスの中のどこかにいるベリアルを倒さなくてはならないということ。
おそらく、今は冥王を名乗る者に体を奪われた友も、あそこに…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ