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□File12
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一方、タワーの外でロボット怪獣の大群と戦っていたミラーナイト・ジャンボット・グレインファイヤー・グレイたち。
彼らの周りには、数多くのロボットたちでできた瓦礫の山が出来上がっていた。
『グォ!』
「きゃあ!!」
インペライザーのエネルギー弾がジャンボットに直撃、ジャンボットと、中に乗っていたハルナとルイズは倒れ込む。
その隙にインペライザーが倒れているジャンボットに向けて剣を振り上げていた。
「く!」
「まずい!」
「やんべ!嬢ちゃん!」
すぐ近くにいたミラーナイトとグレンファイヤーがすぐ救援に向かろうとするが、いくら一番近かったとはいえもう数十センチのところでジャンボットに攻撃が届こうとしていた。
とその時だった。
インペライザーは突然動きを止めた。
「…え?」
「な、何が起きたの?」
起き上がったジャンボットの中で、同じように起き上がったハルナとルイズ。一体どうしたのだろう。急に停止するとは。
それはグレイの方でも起こっていた。ゴルザとバモスに戦わせていたところ、急に戦っていたキングジョーが停止したのだ。
「あれ…止まった?もしかして、サイトたちが勝ったのか?」
「よし、行ってみよう!」
ミラーナイトに続き、彼らはタワーの方へ急いだ。
タワーに飛び込むと、そこには注目せざるを得ないものが彼らの目に飛び込んできた。
「な、なんだこりゃあ!?」
天井に漂う暗雲…アンノウンハンドの中から出てきたレーテを見上げ、グレンファイヤーはびっくりする。
ジャンボットも目を奪われている。
『なんて禍々しい闇…まるで「あの時」のような…』
「みんな、無事だったか!」
駆けつけてきた仲間たちに気付き、ゼロはホッとした。
「ほう、結構な数が揃ったものだ」
「!」
真っ先にその声に、ゼロは反応した。この声、彼にとって聞き間違えるものではなかった。
レーテの前に、誰かが浮かんでいる。
あいつは…。自分と同じ黒髪で、自分が青みかかった黒い目ならば、彼は逆に赤みのかかった黒い目。前髪が一部逆立っていて肩にかかるほど。そして凛とした端正な顔立ち。
間違いなかった。レーテの前に板野はゼロにとって最大の仲間といえる、シュウヘイだった。
「シュウヘイ!?」
シュウヘイは指をパチンと鳴らすと、今度はジャンボットの体内の、ハルナとルイズのいるフロアに暗雲を発生させた。その中から、まるで家から追い出された人のようにテファが飛びだし、床の上に倒れた。
「テファ!?」
それだけではない。今度はオストラント号とペンドラゴンに炎の海賊たちを乗せたアバンギャルド号もまた、シュウヘイが出現させたアンノウンハンドの中から現れた。オストラント号の甲板の上にはギーシュたちUFZの仲間やアリィーとルクシャナだけではない。
アンリエッタやヴィットーリオ、アニエスにテュリュークとビターシャル、それにジュリオとジョゼット、クリスにリシュなど各国の重要人が数人ほどオストラント号の甲板上に集まっていた。もちろん勝手に呼び出されてひどく動揺している。
「こ、これは一体…?」
「せっかくの復活だ。お前たちに教えてやろうと思ってな」
シュウヘイの声がいつぞやぶりか耳に入り、彼女は、そして仲間たちや無意識の内に呼び出された人間たちは顔を上げ、彼の姿を確認する。
「シュ…シュウヘイさん!?」
なんだか彼の様子がおかしい。彼女の知るシュウヘイは、クールで他人に対して排他的な態度をとることが多い上に素直じゃないが、少なくとも根は優しくて一途な人間だ。
なのに、今の彼の目には邪気しか感じられない。まるで悪霊にとりつかれたかのようだ。
「シュウヘイの様子…おかしい」
タバサもはっきりそう思った。ギーシュたちも無論彼が自分たちの知る彼でないと感じ取っていた。
「みんな、あれはシュウじゃありません!」
テファがジャンボットの無線機能を使って仲間たち全員に呼びかけた。
すぐ近くで聞いていたルイズが目を丸くした。
「シュウヘイじゃないですって!?じゃあ…」
「あれは…シュウヘイがずっと戦うべきとして見定めていた…ダークザギ。
シュウは、そいつに体と意識を…乗っ取られました」
シュウヘイを知る者たちに衝撃が走った。
「シュウヘイが…そんな…」
ゼロは力が抜けてしまったような感覚を覚えた。
『何!?ダークザギだと!?』
『バカな…』
ジャンボットとジャンナインもシュウヘイを知らなかったが、今のテファの言葉で驚愕せざるを得なかった。
「ほう、用済みの人形も混じっていたか」
シュウヘイはジャンボット内部のハルナ・オストラント号に乗っているコルベールとファーティマをまるでゴミを見ているかのような目でみおろし、三人は悔しげに彼を睨んだ。
「なんで…なんでシュウヘイの体を奪ったんだ!!」
怒りをあらわにゼロがシュウヘイに向かって怒鳴り散らした。
「俺はウルトラマンノアを元に、今から二万年前の当時の虚無の担い手が使用した虚無魔法「生命」、そしてその星の科学力を結集させて作り上げられた人造ウルトラマン…『ウルティノイド・ザギ』だ」
「なんですって!?」
なんと虚無の魔法で誕生したと言うシュウヘイ(ザギ)のセリフにルイズは信じられなかった。無論ハルケギニア出身の仲間たちも信じられなかった。
自分たちの祖先が、こんな明らかに人類の敵となるであろう存在を作り上げたというのか。
すると、テファやルイズたちがヴィットーリオたちに言われて生命の魔法を使ったときと同じように、自分たちはもちろんブリミルとは全く別の姿をしたメイジが三人の使い魔を背に、シュウヘイと同じリーヴスラシルのルーンの刻まれた使い魔が数多くのプラグに繋
げられ、虚無魔法の特徴的な白い光で包まれていく映像が再生された。
リーヴスラシルへかけた虚無の光が消えると、意識を失っていた当時のリーヴスラシルは虚ろな目を開け黒いオーラに身を包むと、黒と赤のカラールングを除けばノアと全く同じ姿をした黒い巨人に変身した。
これが、ザギ誕生の瞬間だった。
「ノアにより近く作られるように、俺は自己進化機能を搭載された。だが…」
『ウルティノイド・ザギは、オリジナルと比べて能力が大きく上回る可能性があるのは確かです。ですがそれゆえに危険すぎます!』
『そうだ!こんなものを兵器として保有するなど、他の国の連中が黙っていない!各国の友好にヒビを入れるだけだ!』
『それにこの人形は、ノアの模造品にすぎん!!実践で戦得るかどうかもわからん兵器に金を払えるか!!』
その世界での各国の首脳が、ザギの保有をしている虚無の国に対して凄まじい剣幕で講義していた。自分たちの世界を救ったノアの力を模した兵器を持っていることが、世界中から驚異に感じられたのだ。
「そして、俺は一度も使用されないまま処分されることが、各国の首脳会議で決められた」
「…!!!」
テファは驚きのあまり目を見開いた。彼もシュウヘイと同じだった。生み出されておきながら捨てられた、一人の犠牲者でもあったのだ。
「だから俺は、やられる前にやろうと決めた。ノアの模造品ではなく、俺が俺であること、そして俺こそが最強の戦士となるためにな!!」
彼が強く言い放った時、その世界はノアがエネルギーを全て使って倒した時にも匹敵する数のスペースビーストと、それを従え炎の燃え盛る世界で暴れているザギの姿が映されていた。
ザギとビーストへの恐怖で逃げ惑う人々は一秒でも生きようと逃げていくが、なかにはザギたちに踏み潰されるもの、ビーストに捕食される者が続出するなどと、まさに地獄絵図というにふさわしかった。あまりにもショッキングな光景に目を当たられないテファは、
少しでも見ないように目を背けた。
「だが、奴らも最後の手段を使った。生き残った二体のロボット戦士に生き残りを乗せ、ブリミルが星の核を狙って打ち込んだ虚無魔法『爆発』で、俺やビースト共ごと自分たちの母星を爆破した」
次の時の映像では、宇宙空間に抜け出した、後のジャンキラーであるジャンナインとジャンボットが並んで炎に包まれた星をただ悔しそうにじっと眺め、ジャンボットの体内にいた当時の虚無の担い手が、ルイズと同じように白い光の玉を星に向けて放ち、その星はや
がて大爆発を起こした。この映像を見た時のジャンボットとジャンナインは、握り拳を無意識に作っていた。
「そして光量子情報体に肉体を変化させ、生き残った者たちの肉体を変化させた彼らは、ジャンナインをその宇宙の地球へと向かわせ、自分たちの乗るジャンボットには別の宇宙の、どこかに存在するであろう自然あふれる世界に送った。『世界扉』を使ってな。
そして今から6000年前の時代、ブリミルが新たな指導者となった時この世界『エメラダ星』に、奴らは降り立った」
飛行形態となったジャンナインと別れ、白い光のゲートを通り、長い時を経て後にルイズたちが誕生する世界に降り立ったジャンバード。
ザギのこれまで話で気づいた人もいるだろう。
ブリミルは、シュウヘイの生きていた世界では『来訪者』と呼ばれていた異星人の子孫であると。
「俺は情報操作で俺自身の誕生経緯を隠蔽し、人間の体を盗んでブリミルたちの生活に溶け込んだ。そしてガルト星人を使ってアカシックレコードを書き換えさせ、ブリミルたちを侵略者だと思い込んだヴァリヤーグ共とブリミルたちを戦わせた。
この戦いで二万年前と同様、ビーストやこの次元世界の宇宙怪獣共を呼び寄せることができた。結果として先住民共は地下に逃げ出した。
ブリミルは対策として、使い魔に0番目デュナミスト・エルフのサーシャをこの世界での初代ガンダールヴに、当時のウルトラマンコスモスをヴィンダールヴ、鏡の世界の騎士ミラーマンをミョズニトニルン、そして…リーヴスラシルに俺を召喚した。
ふ、愚かなやつらだったな。俺が自分の祖先の星を滅ぼしたやつとも知らずブリミルの奴は馬鹿正直に俺を信じやがった」
その時の映像では、サーシャがウルトラマンネクサスに変身、そして一人の人間の男がコスモスとなりヴィンダールヴのルーンを光らせながら『友好怪獣リドリアス』をはじめとした害のない怪獣を従え、そしてもう一人ミュズニトニルンのルーンを持つ男がミラーマンとなって怪獣たちと戦う姿が映された。
コスモスやミラーマン、彼らまでこの世界で戦っていたとは…。
ミラーナイトに至っては特にミラーマンを見て驚いていた。自分がこの姿になれたのも、きっと彼の血を受け継いだ誰かとブリミルの間にできた子供が、自分の祖先であるアルビオンの王になったからなのかもしれない。というか、そうとしか考えられない。
始祖を崇めるものとしては、あまりにも不愉快極まりないザギの発言。ルイズやアンリエッタ、そしてミラーナイトは怒りで身を震わせた。
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