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□File7
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さて、ロバ・アル・カリイエの方から一機の青を協調とした飛行船が飛んでいた。その中に登場しているのは、以前タバサと力を合わせたこともあるZAPの仲間たちだ。
「ぐう…」
ウルトラ戦士と侵略者の混血であるレイオニクスの少年『グレイ』は最近頭痛に悩まされていた。頭痛が激しくなると、自分の頭の中に不思議なピジョンが見えてくるのだ。ロバ・アル・カリイエで暴れまわるレイオニクスたちとの戦いの中でもピジョンは絶えず毎日
見せられ、ただの頭痛と幻想とは思えなくなり遂に何なのかを確かめに向かったのだ。幻想の内容は、山肌に張り付けられたような石の巨人が映るというものだった。
「ボス、エネルギー反応はこのあたりから感じられます」
モニター上のマップに打たれた赤い点を見てオキがヒュウガに言う。
「グレイ、もしかしたら何かの可能性もある。戦いの準備だけでも怠るなよ」
「うん、わかった」
「ボス、もうすぐポイントに着きます」
クマノが口を開くと、ヒュウガは強く頷いた。
「着陸だ」
「了解」

その頃、飛行させているホークから地上を見ていたハルナ、ルイズ、ギーシュ、マリコルヌ。オストラント号にはコルベール、キュルケ、タバサ、レイナール、ギムリが搭乗している。このあたりに学院の基地のコンピュータで追った反応のひとつがここにあるはずだ。
もしかしたらサイトが見つかるかもしれない。そう思ってハルナは彼が持っていたデルフ、地下水、ウルトラガンを持ってきている。
「コルベール先生、そちらの方は何か見えませんか?」
「いや、まだ何も見つかってない」
二人は互いに所持していたビデオシーバーで連絡を取り合っている。
だが今のところ何も見つかっていないようだ。このあたりに何かあるはずなのに…。
「おい、何か光ってないかい?」
マリコルヌが窓の外の方を指差して言った。確かに、何かが地上で輝いている。それも強い光のエネルギーをハルナは感じ取っていた。
「降りてみましょう」
ホークを降ろし、ハルナたちは地上に降りてエネルギー反応のあった場所に光る何かを確かめに地を歩く。
しばらく光を辿って彼らは、あるものを発見した。
「これは…?」
太陽の光で反射されてまばゆい輝きを放つ巨大な短剣だ。いや、正しく言えばブーメランか。この大剣には見覚えがある。
「これ、サイトがゼロになった時に使っていた武器じゃないか?」
「サイトのですって!?」
確かにこのブーメランは、サイトがウルトラマンゼロとして使っていたゼロスラッガーと形がほとんど同じだった。
「…」
ハルナは静かにそのブーメランに手を触れ、目を閉ざしてみる。すると、思いがけない光景が彼女の脳裏に浮かび上がった。
『ジュア!』
赤き戦士と、鎧の巨人が互いに武器を交えながら戦っている。赤い戦士だけではない。銀色の戦士も赤き戦士と共に戦っている。だが、銀色の巨人は鎧の巨人の魔力によって山肌に張り付けられ光を失い、赤の戦士も鎧の巨人に吸い込まれるように消えていった。
「は…はあ…」
冷や汗を額にため込み、彼女は膝を着いた。同時にブーメランは小さくなって彼女の手の中に収められた。ルイズは心配になって彼女の元へ駆け寄る。
「大丈夫ハルナ!?」
「は、はい…大丈夫、です…。それと、みえました…。これは平賀君のものじゃない」
手に握ったその剣を見せながら彼女は言った。
「サイトのじゃない?じゃあこれはいったい?」
誰の者なんだ?マリコルヌが尋ねる。
「平賀君のお父さん、『ウルトラセブン』の…『アイスラッガー』です」

一方で、そこからほとんど離れていない場所でオストラント号を飛ばしていたコルベールたちもあるものを発見した。山肌に何か、人…いや巨大な石像が張り付けられているように掘り込まれている。
「石像…いや違う!あれは…」
「ジャン、どうかしたの?」
「ミス・ツェルプストー、『あれ』を見て何か気が付かないか?」
「あれ…って!」
地上を覗き見て驚愕するキュルケに続き、タバサとレイナール、ギムリも地上を見る。
「降りてみよう!」
オストラント号も地上に降り、彼らも地上に出た。山肌に張り付けられた石像を追って急ぎ足で向かう。そこで、彼らは驚くべきものの正体をはっきりと確認した。まぎれ
もないものだ。輝きこそ失われているが、あの人に近い姿形で、光を持っていた時は白い輝きのあると思われるその眼は無残にも石化していた。
「これって…ウルトラマン…?」
そう、山に張り付けられていたのは行方不明になった初代ウルトラマンだった。ハルナが見た幻想に現れた鎧の巨人のせいなのか、石化されてしまっている。
「うう…」
一旦ウルトラマンの石像の前に集合した一同。その際、ハルナはリライブ光線を石像に放出してみたが、ウルトラマンに復活の様子は見られない。
「やはり、今の私じゃ力不足なのかな…」
「ねえハルナ、あれも…」
「確かに、あの石の巨人はウルトラマンです」
ハルナがアイスラッガーを通してみたピジョン、そしてそのピジョン通り石化されてしまったウルトラマン。そして鎧の中に姿を消してしまったサイト=ゼロの父、ウルトラセブン。どう考えてもそうとしか考えられなかった。
「やはりそうなのか」
コルベールの一言にハルナは頷く。
「でも、サイトじゃないんじゃ…」
来た意味がないんじゃないか?そう言いそうになるギムリにルイズが起こったように反発する。
「馬鹿言ってんじゃないわよ!サイトに助けられて私たちが生きてるのに、あいつの同族を救わないなんて最低じゃない!
あいつが戻ってくる前に、少しでも狩りを返すのが筋ってもんでしょ?」
ルイズのその一言に、みんな一斉に頷いた。
「おそらくセブンが戦っていたのは、私を平賀君が最後に地球で見た最強の宇宙人の所持していたとされる暗黒の鎧『アーマード・ダークネス』」
アーマード・ダークネス。その邪悪な響きからして誰もが普通の鎧じゃないと判断した。むしろ恐ろしく感じた。
ハルナが言うその最強の宇宙人、ウルトラマンメビウスとストウルトラマンヒカリが最後に戦った『暗黒宇宙皇帝エンペラ星人』の部下たちが主である彼に献上しようとした。でも数万年前彼が起こしたウルトラ大戦争でもそれを着ることなく、放置された。アーマー
ド―・ダークネスはただ装着者を求めるだけの生ける鎧となって宇宙をさまようこととなった。
「その果てに、このハルケギニアに辿り着いたわけか…」
レイナールは腕を組みながらそう解釈した。
「あの鎧はどのみち破壊した方がいいです。出なければ、いずれあの鎧の呪いで犠牲が出てしまうかもしれない」
「でも、どうやって?第一見つかっても…破壊できるだけの力なんて…」
ギムリの言うとおり、この世界に怪獣を破壊できるほどの兵器はまるでないと言っていい。仮に見つかっても、破壊できるほどの兵器がなければ放置するしかないではないか。
「手段がないわけじゃないでしょ?私の虚無は普通の魔法より威力はあるわ」
ルイズが名乗り出た。自分の力でならばなんとかなるのではと予測したのだ。彼女だけじゃない。キュルケもタバサも、ギーシュも杖を掲げた。
「ヴァリエールだけだと不安ね。私も手を貸すわ」
「さっきルイズが言った通りだ。僕も少しでもサイトに借りを返したい」
それから、中には渋々ながらも戦う意思を見せる者もいたが、全員杖を掲げた。せめて、ルイズの力になるために。
「…」
ハルナはチラと石化したウルトラマンを見る。光の国に滞在していた時は世話になった人の一人だ。助けてあげたいという思いが強くなる。
と、ここでタバサがある方向を指差した。
「みんな…あれ…」
その時、タバサが指を刺した方向にあの怪しげな鎧を着たメフィラスが、剣を担ぎながらこの荒野の大地を歩いていた。
しばらく歩くと、三つに別れた刺股の刃が地上に突き出ていた。それに反応してメフィラスの持っていた剣も紫色の光を放つ。
「これか…」
「ワハハハ!これで十連勝!」
そこにいたのはメフィラスだけではなかった。シマウマのような黒と白の縞模様に不気味な顔をした宇宙人『三面怪人ダダ』はレイオニクスバトルでの勝利の喜びにうち震え、跳び跳ねていた。
さらにもう一人、ウルトラ六兄弟と死闘を繰り広げたこともある『極悪宇宙人テンペラー星人』もいる。
「ダダか、なかなかの腕前のようだな…ならば俺と勝負してみないか?」
「いいぜ!返り討ちにしてやる!」
「邪魔だ。退きなさい」
後ろから声が聞こえてきた。二人が振り向くと、そこに鎧を纏ったメフィラスが剣を担いでいた。
「なにやら強い波動を感じて来てみたら、なんだ貴様か!いっちょ前にこんな鎧を着おって。こけおどしのつもりか!」
テンペラ―星人はどうもこのあたりに大きな気配を感じてやってきたようだが、かなり期待はずれな様子でメフィラスの鎧を叩く。
「プ!誰かと思えばメフィラスじゃないか!バトルナイザーを失った時点でお前は…」
まるで気弱なクラスメイトを小ばかにするようにバトルナイザーを見せびらかすダダ。その瞬間、ズバシュ!
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