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□File7
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「えっと、ここって…」
新しいそう世界に来たサイトとクリスは辺りを見渡して辺りを見渡す。そして今自分たちの着ている服装…
「ガソリンスタンド!?」
「がそりん?」
外から匂うこのガソリンの臭いと、窓の外に見える自動車の列。そして縦じまの赤いラインの制服。どう見てもガソリンスタンドだった。
「がそりんとはなんだ?」
ガソリンの存在自体知らないクリスは首を傾げるしかなかった。
「おいおい!お前そんなことも知らないでこのMydoで働いてるマイドのか?」
そこで口を挟んできた男がいた。Mydo隊長の大河内神平。ちょっと抜けてはいるがカリスマ性のある男である。
しばらく大河内の唾が飛ぶほどの力説をクリスは無理やりながらも聞かされた。
「ったく、俺たちは表向きはガソリンスタンドのスタッフなんだ。紛争のない今の時代に武装集団が顔を出してると物騒だからな。わかったか、アホ」
なんかムッとしなくなるセリフを言った大河内はそのまま隊長専用のデスクに座り込んだ。
「無礼な隊長だ…」
小声でクリスは苛立ったように呟いた。ガソリンとは無縁の世界で生きてたから仕方ないじゃないか。
「ん?」
サイトは空いてる席に、一枚の身分証が置いてあるのを見つけた。
サイトは空いてる席に、一枚の身分証が置いてあるのを見つけた。それを手にとって見てみると、ある若者の顔写真と名前が記載されていた。
『Mydo隊員 朝日勝人』
「勝人?」
「あ〜勝人か?」
大河内は身分証を見るサイトの方を向いた。
「あいつかなりのダメ野郎でな、ゼアスが現れる時はいっつもどっかに身を隠すし、仕事もダメばっかやらかす奴だった。やる気だけは人一倍だったがな、ゼアスが自分の偽者に負けて以来、勝人も辞表出してどっかに消えちまったよ」
「ゼアス…」
光の国で聞いたことがある。確か、Z95星ピカリの国の出身のウルトラマンだが、宇宙警備隊の隊員の中でかなりの落ちこぼれだったウルトラ戦士だ。どうもこの世界、彼が主人公の世界のようだ。すると、いきなりその部屋のモニターに映像が表示され、その映像
にいかにも悪者そうな男の顔が映された。
『ごきげんようMydoの諸君。私はベンゼン星人の悪神亜久馬だ』
だが、その悪者らしい名前の男だけではない。次に姿を現した人物の姿に、クリスは絶句した。
『私は影美。悪神亜久馬の妻よ』
なんと、ルイズだった。彼女がまさか、この世界での敵であることにショックを受けるしかなかった。
『これから私たちは地球人たちへの洗脳を開始する。この最強の兵器…ウルトラマンシャドーによってな』
悪神が親指で自分の背後を指差すと、カメラがその方角へ動き、そこに巨大な黒いウルトラマンが保管されていた。
『ロボット超人 ウルトラマンシャドー』。その姿形は色や目付きなどを除けばウルトラマンゼアスそっくりだ。
『私たちの下に着けば、辛いことを何にも味あわなくて済むわ。ありがたく思いなさい。じゃあね♪』
影美と名乗るルイズがそう言い終えた瞬間、映像はプツンと切れた。
「ふざけた奴だ。ゼアスが負けた隙を突く気か」
「あの、隊長…」
サイトが窓ガラスの外を指差した。なにやら真っ黒な黒い足がガソリンスタンドの前に立っている。
「まさか…」
三人は外に出て、その巨大な足の正体を確認した。そのまさかだった。その足の持ち主は、先ほどモニターから見たウルトラマンシャドーだった。
「シャドー!」
シャドーがその赤い眼差しで三人を見下ろすと、目から怪しげな光線を放ってきた。
「危ない!」
サイトはクリスを抱き抱え、その光線を回避した。だが、大河内は真に受けてしまう。
「隊長!」
光線が放射し終えたところで大河内の無事を確認しようとしたが、彼は何の反応も示さない。
「大河内隊長?どうしたんですか?」
サイトとクリスの呼び掛けに大河内は無反応のままだ。まるで人形のようにその場に立ち尽くしている。
「まさか…今の光線で?」
そうとしか考えられない。実はウルトラマンシャドーが今放射した光線には、洗脳効果があったのだ。大河内は隊長の威厳を全く見せつけられないまま洗脳されてしまったのだ。大河内だけではない。ガソリンスタンドに客としてきた人間たちもまるで人形のようにそ
の場に突っ立ったままだ。
シャドーは再び二人に向かって洗脳光線を放ってきた。
「相棒!ここは退け!一旦体制を建て直した方が良さそうだ」
デルフが鞘から顔(?)を出して言った。
「くそっ!」
「サイト、その悔しさは次に繋げるんだ」
苦虫を噛むように顔を歪ませるサイトを落ち着かせるようにクリスは言った。

二人はその難を逃れはしたが、街の人たちはみんなシャドーの洗脳光線でベンゼン星人たちの手駒にされてしまった。
「旦那、もうここまではあのデカブツも追ってこねえみたいですぜ」地下水がそう言ったところで二人は足を止めた。気づけば、近くの裏山の木造の建物の前にいた。
「しかし、街の人たちを洗脳しただけでなく、もう一つマズイことがある」
クリスが焦るように言う。そうだ、あのルイズが今までは味方の立場の役割だったのと異なり、まさかこの世界では敵の役割で現れたこと。彼女をどうやって攻略するか悩みどころだ。
「ルイズをどうやったら…」
「ルイズ?ルイズってなんだよ?」
は…?クリスは思わず間抜けな声を漏らした。今何て言った?ルイズって何だと?
「何ってお前のマスターだろう?サイト。何せお前をハルケギニアに召喚したのは彼女だ」
「ボケたのかクリス?俺たちはリシュを助けに来たはずだ。ルイズなんて、会った記憶もないぞ」
「何を言ってるんだ!?だって私たちがこの世界に来たのはルイズの心を…」
「やっぱり変だぞクリス?そんなことより、勝人って奴を探そうぜ。あいつはこの世界での鍵だって確信してる」
サイトはクリスの話をまともに聞こうともせず、そのままどこかへ歩き出してしまった。
「変なのは、お前の方じゃないか。一体どうしたと言うのだ?」
彼も洗脳光線を受けたのか?いや、一度もシャドーのあの光線を受けてはいなかった。
いや、まてよ…自分がトリステインに来た『理由』を思い出すクリス。
(まさかあいつ…いや、まずはこの世界をクリアする必要があるな。それから話そう)
今はこの世界に集中することにしたクリスはサイトの後を着いていった。

しばらく山奥に進むと、何か爆発したような音が響いた。
「なんの音だこりゃあ?」
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