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□File4
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サイトたちがティガの仮想世界で奮闘してる頃、シュウヘイとテファも自分たちの訪れた仮想世界の、日本支部の地球防衛軍施設『ベースタイタン』にいた。
この世界に来たと同時に二人の服装は変わっていた。赤と白を強調した隊員服に。
「ここが地球…すごい」
ただでさえハルケギニアでは見受けられないものばかりが目に飛び込み、テファは目を丸くしていた。
「ああ、だが…」
ベースタイタンなんて施設は彼のいた地球にはなかったものだ。シュウヘイの入隊した、
元々秘密組織だったTLT。そのため、黒部ダムの内部に基地の入り口を、深き湖の底に基地を配備、存在事態結成された当初は明かされてなかった。
しかし、海の上に浮かぶこのベースタイタンは元から公のものとなっている。しかも子供たちに社会科見学を許可してるというおまけ付きだ。
そして何より…
「ウルトラマンマックス、か…」
この世界に来るために使用した本の絵柄と同じ姿をした、赤いウルトラマンの戦う姿が作戦室のモニターに映されていた。
「ウルトラマンマックスを見るのは初めてですか?」
後ろからテファとは違う女の声が聞こえてきた。
「ああ。…って!」
背後に振り向いた瞬間、シュウヘイは驚いた。DASH隊員服を着たルイズが立っている背後に振り向いた瞬間、シュウヘイは驚いた。DASH隊員服を着たルイズが立っているのだ。それもまるで、タバサのように無表情を浮かべて。
「あなたが新しく配属された黒崎隊員ですね?私はエリーといいます。怪獣の解析などは私にお任せください」
「あっ…ああ…」
自らをエリーと名乗ったルイズはコンピューターの搭載されたデスクの椅子に座り、キーボードのキーを叩き始める。
「シュウ、あの娘確か…」
テファはシュウヘイの耳元で 囁いた。
「私たちのこと、わかってないみたい。どうして?」
「何らかの力で操られてるかもしれないな。ともかく、この世界ではエリーという役割を遂行している。俺たちが新しく配属されたDASH隊員の役割を与えられてるようにな」
シュウヘイはそう言って、隊員服の胸に付けられているDASH隊員バッチに触れる。
「それにしても…」
シュウヘイの記憶の中のルイズ。それは悪く例えると…
『なあああんですってええ!?』
ちょっとあおるだけで暴れ猿のように必要以上にキレては騒ぐし、とても16とは思えない(シュウヘイのちょっとが世間的にどれほどか不明だが)。中身も見た目もまだ幼い子供のようだ。そのルイズがエリーという名前で、しかも落ち着いてどこか論理的な雰囲気
であることが、本物のルイズとの間に大きなギャップを生み…
「くく…」
彼のツボにいったのか、シュウヘイはおかしさのあまり少し笑ってしまった。
「何かおかしなところでも?」
ウィン!と機械音を鳴らしながらエリーはシュウヘイの顔を見る。
「ああすまん、なんでもない」
今の機械音、これはエリーが人間ではなく、アンドロイドである証拠だ。彼女は優れたオペレーティング力を持ち、DASHの作戦行動の大きな要でもある。しかしアンドロイドなためか抑揚のないしゃべり方で人の心を読むのを苦手としていた。ここまでは本来の『
マックスの世界』での彼女の特徴である。が…
「…」
シュウヘイから目を背け、再びコンピューターのディスプレイを見始めた時の彼女はどこか不機嫌そうだった。

その後、グリーフィングの時間で二人はDASH隊長のヒジカタに若き隊員トウマ・カイト、白人隊員ショーン、射撃スペシャリストのコバに紹介された。
「今日からこのDASHに配属された黒崎シュウヘイ隊員とティファニア・ウエストウッド隊員だ。みんな、仲良くしてやってくれ」
ヒジカタは二人の肩を押して言った。
「僕、ショーン!Nice to meet you!」
「コバ・ケンシロウだ。よろしくな」
「トウマ・カイトです。よろしくお願いします!」
彼らの気さくな自己紹介に、シュウヘイは騒がしい…と感じなからも懐かしさを感じた。
『今日からこのナイトレイダーAユニットの隊員となりました黒崎です。よろしくお願いします』
初めてナイトレイダーに入隊した時のこと。あれからどれくらい時間が経ったのだろうか。自分が正しい道を歩むのを手伝い、仲間に率いれてくれた恩人たち。今はどうしているのだろう…
「黒崎、早速だが地域のパトロールを頼めるか?」
「了解」

パトロール前のこと。
「…トウマ」
「なんですか?」
ベースタイタンが見える公園に来たシュウヘイはカイトに話しかけた。
「マックスとやらは、お前か?」
それを言われ、カイトは思わず絶句する。が、焦りながらもすぐに作り笑いを浮かべた。
「そんなわけないでしょハハハ…」
実際当たっている。
元々DASHの入隊試験に落ちた彼は怪獣の出現時、ダッシュバードを無断で使用して怪獣と戦ったが撃墜、その際に自分を救ったウルトラマンマックスと同化したのだ。
(バレバレだ。その慌てっプリで)
口には出さなかったが、シュウヘイはすでにカイトがウルトラマンマックスであることを見きっていた。

それからその仮想世界で二日ほど経ったが、あまり大きな変化はなかった。
どうすればルイズの心を取り戻せるのか、いまだ不明なままだ。だがこの幻想の世界で骨を埋める訳にはいかない。なんとしても、この世界で成すべきことを発見しなければ。
そんなとき、ある怪奇的な出来事が町中起こり始めた。
「あのおじいさんの九官鳥が何も話さなくなったそうよ」
「うちのポチ、お手も待てもできなくなったのよ」
「そう言えば今朝のニュース番組、アナウンサーの二人漢字が読めなくなってたぞ」
「おい、あんたの抱えてる赤ちゃん人形だぞ?間違えてるぞ」
「えっうそ!?」
当たり前のことのはずなのに、人々の記憶からその当たり前なことが消えていってるのだ。漢字の読み書きや足し算をはじめとした簡単な計算、家族の名前、自分の成すべきこと。そういったものが人々の記憶から消え去っていった。
その兆しが見えてきた日からエリーは、精神科に通った患者の数を調べあげた。その数は…
「10万人…!」
しかも日に日にその数は増していたのだ。新たに分かったのは、モニター上の地図の集計グラフが三方向に枝分かれしていた。
「これ、確か一か月前の…」
この仮想世界の時間で一か月前、三つの隕石がその位置に落下した。
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