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□File2
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「ここは…」
気づけば、彼らは予想だにしない場所にいた。今は昼にも関わらず外は真っ暗だ。
「どうなってるのよこれ!いきなり揺れたと思ったら外は夜になってるし!」
「落ち着けルイズ。騒いでも何も始まらない。サイト、お前は何かわからないか?」
「俺にもわからない。ただ、やな予感がするのは確かだ」
改めて外を見るサイト。地上ではめったに見られないクレーターがいくつもある。間違いない。ここは…
「ここは、月だ」
「へえ…ここが月…てえええええええ!?」
今のサイトの言葉にルイズは驚きのあまり顎が外れそうになった。何せ、地上から見ていた月の大地に立つなんて、まだ宇宙進出を果たしてないハルケギニアの人間から見ればありえない。
「こんなことあるわけないじゃない!フライの魔法もないのに」
「あのなあ、今更何言ってんだ?いきなり怪獣とか宇宙人がハルケギニアに現れたってのに、『あるわけないじゃない』はないだろ?きっとこれも、異星人の仕業かもしれない」
「う…」
確かなことを指摘されたルイズは返す言葉を見つけられなかった。まあ自らの意思と関係なくいきなり月に降り立ったなんて事態になったら、ベテランの宇宙飛行士だって驚かざるを得ないだろう。
「このウルトラホークに宇宙耐性のシステムがあって助かったよ」
かつてウルトラ警備隊が使用したウルトラホーク1号と2号には、宇宙での任務を可能にするため、空気清浄器や酸素タンクの設備が整ってる。もしなかったら彼らは窒息死して宇宙の藻屑になってたかもしれない。
サイトから宇宙の危険性を聞かされた二人はぞっと恐怖した。
「じゃあ早くここから脱出しないとマズイじゃない!」
「サイト、何とかならないのか!?」
「慌てるな二人とも。もう一回操縦してみる」
サイトはホーク1号のハンドルを握り、数多くのスイッチやレバーを使いながら発車を試みるが、ホークは全く動こうとしなかった。
(今侵略者や怪獣が現れたりしたら対処できない。シュウヘイに連絡を入れないと)
ビデオシーバーの蓋を開き、シュウヘイの持つパルスブレイカーに通信したが、ビデオシーバーの画面には砂嵐が移るだけで、シュウヘイとの連絡は結局取れなかった。
「くそ…操縦も連絡もできない。このままだったら間違いなく…」
最悪の事態が、迫ろうとしていた。いずれこのホーク内の酸素は尽きるしかないだろう。その前に、何か手を打たねば…
すると、操縦席の電波探知装置の針が、大きく揺れだした。何か超音波が放出されてるのか?
確かめねば。おそらくこの超音波は外から発信されている。
「二人はここにいるんだ。俺は外に出てみる。ホークの故障の原因がわかるかもしれない」
「外に!?あんた今外に出るのは危険て言ったじゃない!」
「ちゃんと宇宙服を着たら外に出られるさ。とにかく二人はここで待ってるんだ。絶対に出てくるなよ。いいね?」
サイトはそう言って二人をホークの操縦室に残し、入り口付近でウルトラゼロアイを取り出し、装着した。
「ジュア!」
彼の言う宇宙服、それはウルトラマンゼロとしての姿そのもののことだった。これなら宇宙空間でも耐えられる。等身大のゼロはホークの入り口から外に出て、月の大地に降りた。
あたりは暗く、わずかに太陽の光が差し込むだけだった。もし戦闘になれば、太陽光線から光エネルギーを吸収できず、苦戦は避けられない。
何としても見つけないといけない。このまま変身した状態でホークを運び、地上に戻ることを、正体不明の敵は許さないだろう。
「どこにいるんだ!なぜ俺たちを狙った!?」
『なぜだと?それはお前が一番よく知っているだろ?ウルトラマンゼロ』
ゼロの怒鳴り声に答え、どこからか声が聞こえてきた。そして岩の影から一体の異星人が現れた。
「お前は確か、ザンバ星人!」
現れた異星人は『復讐怪人ザンバ星人』。ウルトラセブンことモロボシダンの上司だったキリヤマ隊長と、その親友だったクラタを罠にはめようとしたエイリアンだ。
「ホークに異常を起こさせたのはお前か!」
ゼロの指摘に、ザンバ星人は見慣れない小型機械を見せつけた。
「この装置でお前の乗り物をこの月へ誘い込んだのだ。しかも電波障害のおまけ付きでな。
この月面では助けも来ないだろう。ふふ…」
「一体なぜこんな真似をした。俺だけが標的なら、二人を巻き込む必要などなかったし、機会がいくらでもあったはずだろ!」
「さあな。私はただ我々の主である『冥王』の命令に従うだけ。詳しい情報など知らぬ」
口笛を吹くように知らないと言い張るザンバ星人。ゼロはどうもこのザンバ星人は何かを隠している気がしてならなかった。
「バカな真似は止めて今すぐお前の星へ帰れ!俺は、できれば戦いたくない」
「噂通りの甘ちゃんだな貴様は。だったら我が怪獣たちの餌になれ!」
ザンバ星人は妨害電波発生装置を捨てると、新たに別の機械を取り出した。
グレイも所持する装置『バトルナイザー』だった。
【バトルナイザー、モンスロード!】
ザンバ星人から二枚の光のカードが飛び出し、一体は『月怪獣ペテロ』もう一体は『満月超獣ルナチクス』となって降り立った。
「なっ、超獣まで従えてるのか!?」
超獣と言えば、ウルトラマンエースやウルトラマンタロウ、そしてウルトラマンメビウスとも戦った、完全な兵器としての怪獣。メビウスに倒されてから姿を見せてなかったはず。が、こうして超獣が自分の目の前にいる。考えられるのは、この超獣がわずかな生き残
りであること。もう一つはもっと最悪な…
(エースの言っていた…奴がまた…)
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