GANTZ/ULTRASEVEN.AX(完結)

□3
1ページ/2ページ

「外だ…」
一同は外に転送されていた。
「んだてめえ。裸で何やってる」
「え、あ!ちが…」
「計ちゃん…」
畑中に自分の裸を指摘された玄野は赤面した。加藤もこれには引いたようだ。
そこにさっきの女の子も玄野の学ランを着て歩いてきた。
「大丈夫か?」
「う、うん…//」
女の子は加藤を見ると赤面していた。
「くっそ〜なんでそっちにくっつくんだよ…ってかこれマジコスプレじゃんかよ恥ずかちー…」
玄野は近くの家の車庫で、加藤に妬きながらもスーツを着た。
「ここはどこなんだよ?」
「駅でも探すとするか…」
ヤクザや美形の男、山田に鈴木たちは歩いて帰ろうとした。
そこに西が口を開く。
「いいこと教えてやろっか?この地球には犯罪者宇宙人が潜んでいる。僕らはそいつをやっつけに行くんだ。政府にスカウトされた実行部隊としてね」
「は?何いってんだこいつ?」
誰だって一度聞いたら馬鹿馬鹿しい話だ。それでも西は続ける。
「別に信じなくてもいいよ。でも一匹やっつけたら一千万もらえるんだ」
「一千万!?」
金の話に入った途端、彼らの目の色が変わった。
「タイムリミットは一時間…その間になんとかしないとね」
西は何かの板を取り出すと、それに地図が表示されて彼らのいる場所から東の方角に赤い点が出ている。どうやらセンサーのようだ。
「急げ!」
彼らはすぐ赤い点の位置にいるであろうネギ星人を追っていった。
「くだらん。帰る」
鈴木は興味を示そうとせずどこかへ歩いていった。

西たちはセンサーを頼りにネギ星人を追っていた。しかし、赤い点の位置にあるマンションの辺りにようやく着いたと言うのにネギ星人の姿は見当たらない。
「こらガキ」
畑中が西を睨み顔で見下ろしていた。
「さっき言ってたのがウソだったら殺すぞ?」
「いいよ別に。とっくに死んでるだろうし」
「けっ…」
畑中は気が削がれたのか、引き続きネギ星人を探しに向かおうとしたとき
「お!」
西はマンションの一室の扉から小柄な影がこちらを見ているのを見つけた。
「よーく見てくださいよ皆さん!ターゲットがこっちを見てますよ!」
「何!?」
山田や畑中たちはその西の言葉に反応し、興奮しながら銃を手にその影の主、ネギ星人を追った。見たところ、そのネギ星人は黒い玉に表示された顔写真の子供そのものだった。きっちり緑色の肌と髪がある。
「待てやこらあ!」
彼らの人影は路地の裏の階段をかけ上がっていく。

やがてネギ星人は別宅の車庫に追い詰められた。
「やっとか…この野郎…」
畑中が先頭に、五人はゆっくり近づいていく。
その中に西の姿はいつの間にかいなくなっていた。
「ネギ…ネギあげます」
ネギ星人は長ネギを手に、彼らに懇願するように言った。いや、実
際懇願していたのだ。ネギと引き換えに命だけは助けてくれと言っている。自分の身に危険が迫っているのを感じている。
「よくできてんじゃん。被りモンにしちゃ」
稲森はそれを無視して銃を向ける。
突然ネギ星人は顔を歪ませ、大量の鼻水を吹き出した。当然目の前の畑中たちに悪臭と共にかかってしまう。
「うわあ!」
「なっ、てめえ!」
その隙に逃げ出そうとしたネギ星人だったが、鼻水をモロにかけら
れた畑中は血眼でネギ星人の服を掴んで逃がさなかった。
「帰れる…あの生意気な総理を今度こそ」
鈴木はネギ星人退治を余所に一人路地を通って自宅に帰ろうとした
が…
パァン!
誰も見てなかったが、それは誰もが一度はぞっとする光景だった。
彼の頭は突然吹き飛ばされた。破裂した彼の頭から、小さな金属の
塊が転がった。
その頃、さっきの場に残ったのは玄野、加藤、ジンともう一人は女
の子だ。
「えっと…ここはどこだったんだ?」
加藤は近くの電信柱に張られていた地名の書かれた板を見ると、「
一の宮」と表記されていた。
「一の宮?どこなんだ?」
「あの…」
加藤が歩き出した時、女の子が話しかけてきた。玄野は密かに(か
わいい…超好みだ…)と心の中で下心丸出しの言葉を呟いていた。
「一体、何なんです?私、生きてるんですか?」
「え、と…とりあえず帰るんだろ?」
「はい…あ!そういえば、まだ名前…」
女の子は名前を尋ねてきた。
「俺は、玄野計」
気取ったように言う玄野。女の子からちょっといい目で見られたが
っているようだ。
「平賀、ジンです。ジンで構いません」
「俺は加藤。加藤勝」
「加藤さん…君?」
どう彼を呼ぼうか少し迷った女の子に加藤は「どっちでもいいよ」
と言った。
「あの、あなたの名前は?」
今度はジンが女の子に名前を訊いてきた。
「私は…岸本恵です」
ケイ
(ケイ…俺と同じか…)
玄野はなんとなく名前が同じことに不思議な感じを覚えた。
(にしても不味かったかな〜…こんな格好じゃ夜道もまともに歩け
やしねえ…)
その時、加藤は階段を必死に登ってネギ星人を追いかける畑中たち
を発見した。
「ちょっと、俺見てくる」
「おいおい、ちょっ加藤!」
玄野の制止を聞かず、加藤は畑中たちを追っていってしまった。
岸本もまた、加藤の行った方を不安げに見ていた。
ジンはいるものの、岸本がおそらく一番見ていた加藤がいない今なら仲良くなれるかもと、彼女にできるだけ笑顔で話しかけた。
「行っちゃい、ましたね。家どこですか?送りますよ」
「あの…私も…」
岸本は小さく会釈してすぐ加藤の後を追って行った。
「え、え!?」
予期せぬ彼女の行動に玄野は途方にくれてしまった。
「ん?」
ジンはその時、背後から何かが近づいてくるのを感じた。
「…え…」
玄野は振り向いた瞬時に見たその気配の正体に絶句する。
見たところ、長身の巨漢のようだった。だが、どこかで見たような緑色の肌と髪が目立つ。
「…ネギ…星人?」
ネギ星人。その言葉に反応したのか、彼は右腕に着けてた腕時計らしきものに手を触れると、UFOにれ連れていかれるように、空から
差し込んだ光に包まれて消えた。
「なんだったんだ…?」
玄野には全く理解できなかった。


加藤はようやく畑中たちに追い付i
た。
ちょうど稲森が小型銃をネギ星人に向けていた時だった。
そして彼は引き金を引くと、銃身がXの字を描くように広がった。
ギュオオーン
銃らしくない作動音が鳴り、青白い光が放たれた。これだけだった。
「こんだけ?」
結局ただのおもちゃだったのか?そう疑いだした時だった。
パン!
彼らは目を見開いた。肉片と血しぶきを飛び散らせ、右肩を失ったネギ星人が苦しそうにもがいている。
「本物だ…」
「すげえなこれ」
凄惨たる光景に加藤は青ざめていた。
畑中たちが銃の威力に感動していた隙に、ネギ星人は残っていた左腕を振るった。
山田や畑中たちの足に切り傷が現れ、血が痛覚と共に噴き出す。ネギ星人の左手の指先の爪がナイフのように鋭くなっていた。
「いたっ!」
山田や稲森は足を押さえ、鼻白む中…
ぷち…
畑中は遂にキレ、銃をネギ星人に向けて撃ち込んだ。
「止めろ!」
加藤の叫びは届かなかった。ギュオオーンの音と光が止むと、またしても嫌な破裂音が響き渡った。
その破裂音が止んだとき、ネギ星人はすでに原型を留めていなかっ
た。
「う…ハーッ…ハーッ…」
加藤は苦しそうに呼吸を荒げながら頭を抱えた。
「一千万…」
畑中の目は異様な光を灯していた。
と、後ろからパタリとものが落ちた音がした。
「?」
加藤や畑中たちが振り向くと、さっき玄野やジンと出会った大ネギ星人がいた。目から大粒の涙が流れている。
「なんだこいつ?ネギ星人の親父か?あ!」
そう畑中が一言言った時、彼の視界が斜めに傾いた。畑中の右足が鮮血と共に地面に転がっていたのだ。
「う…うわあああああ!!」
「撃て!撃て撃て!」
山田の悲鳴がこだまし、稲森が喚き出す。
彼らは銃を掲げて引き金を引く。
しかし、大ネギ星人は畑中の頭を掴んで盾代わりに防いだ。
その後…畑中は無残に砕け散り、その返り血で茫然と立ち尽くす加藤を除く彼らに、大ネギ星人の刃が迫ってきた。
加藤は我にかえって残った山田たちを庇うように大ネギ星人の前に
立った。
「止せ…止めろおおおおおおおおおお!!!!」
加藤の懇願も虚しく、大ネギ星人の刃は加藤たちに襲いかかった。

玄野とジンは岸本、そして加藤を追っていた。しかし、地図がないので道に迷っていた。
その途中、奇妙な音が頭の中から流れてきた。
ビンボロぱんぽん…
「なんだこの音…お前の携帯?」
玄野はジロッとジンを見た。
「あの…僕じゃ…」
とジンが呟いた時、彼らは一瞬もどしそうになった。ミッション開始時に別れた鈴木の死体が目の前に転がっていた。しかも、頭が原型を留めてないまま…
(まさかこの音…!)
青筋をたてたジンは何かに気付き、玄野を引っ張って
「玄野さん戻って!」
「え!?」
逆方向にすぐ走ると、音は鳴り止んだ。
「爆弾が頭の中に…?」
「は!?じゃあさっきの奴…星人じゃなくて爆弾に殺られたっての
か?」
玄野は信じられないと言ってるような表情を浮かべていた。それは
そうだ。頭のの中に爆弾などいつ埋め込まれたのだ?手術でメスを入れられたこともないのに。
「多分、ネギ星人を倒さないと…帰れないってことじゃ…」
「ち…」
玄野とジンはネギ星人を探しに走り出した。

再び加藤たちと別れた道を通り、さらにその向こうへ歩きながら二人はネギ星人の捜索を続けていた。
そこに目にしたのは…
「…!」
無残に斬殺された山田たちと、一人手首を切られて意識が遠退こうとしていた加藤が倒れていた。その側に岸本が涙目で加藤の名を必死に読んでいる。
「加藤君!加藤君!」
そんな彼女にも大ネギ星人の魔の手が迫ってきた。
「!」
ジンは見てられなくなり、もうスピードで走って大ネギ星人をタッ
クルで突き飛ばした。
「グバアアアア!?」
大ネギ星人は一軒の家の塀を突き破ってぶっ飛んだ。
「「「!?」」」
玄野、岸本、そして突き飛ばした本人のジンには何が起こったか理
解できなかった。よく見ると、ジンの着ているスーツが膨れ上がっ
ている。
(「変身」してもないのにこの力…一体!?)
ガラッという塀の瓦礫の音に反応してジンはすぐサッと身構えた。
しかし、大ネギ星人は出てこなかった。
「…?」
一体どうなったのだろうか?いや、出てこなかったのではない。彼
らの真上に高くジャンプしていたのだ。しかも、標的はジンではな
く、玄野のすぐ側にいる岸本だった。
「!」
岸本は自分の死を覚悟し、伏せた。
が…大ネギ星人の攻撃は彼女に届いてなかった。玄野が辛うじて大ネギ星人の両腕を掴んで彼女を守ったのだ。
(…そうだ!俺は、ヒーローだった。怖いものなんか…何一つなか
った!)
さっきの加藤の姿が一瞬フラッシュバックのように浮かぶ。そのせ
いか、怖い物知らずだった小学生時代の記憶も蘇る。
『やっぱりさ、計ちゃんはすげえよ!ケンシロウとかよりもさ!』
あの時から自分をヒーローとして尊敬していた加藤。その加藤を傷
つけられた衝動からなのか、さらに玄野のスーツの力が強くなって
いく。
「やっぱ計ちゃん…すげえよ…な…」
加藤は虚ろになる目で玄野の戦う姿を見ていた。
そして、ベキィ!
「グアアアア!?」
大ネギ星人の左手が折れた。苦しそうに膝を着いてもがく大ネギ星
人。
「ネギ…ネギあげます。許して…ください…」
子供のネギ星人のように懇願しだした。
「はあ…はあ…許すかよ…誰が!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ