GANTZ/ULTRASEVEN.AX(完結)

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「はあ…はあ…!?」
電車に引かれ、死んだはずの高校生、玄野計と加藤勝。気がつくと、
走った時と同じ動きをとっていたまま見たこともない部屋にいた。
「君たちも…死にかけたんだ」
それを見ていたメガネの男が言った。
その部屋を見てみると、他にもヤクザの二人組、美形の青年に寝暗
な中学生、そして年寄りの男がいる。そして彼らの輪の真ん中に黒い玉が置かれていた。
「な…助かったろ…ほら…」
「ほら…って、お前なあ…」
加藤と玄野はへなへなと床にへたり込んでしまった。
「助かってないよ。ここが天国なんだ。私たちは死んだのだよ」
「テメーだけ死んでろバーカ」
玄野は嘘だろ!?と言ってるような顔で自分の胸に触れてみた。
(死んだ?嘘だろ!?心臓動いてるし、息もしてる)
「計ちゃん、あれ…」
「あ?」
加藤の指差した方を見ると、日本人なら誰もがしる巨大な塔が見えた。
「東京タワーだ」
加藤は窓の鍵を開けて窓を開けようとしたが
「あれ?触れねぇ…?」
「はあ?んなわけ…って!?」
玄野が代わりに鍵を開けようとしたが、彼も触ることができなかった。
「壁にも触れないんだ。携帯も繋がらないし、玄関もあかない。でなけりゃここにみんなじっとしてないよ」
すると、玄野は真上から鉄球のような重みを感じ、床に押し潰された。
「いて!?」
「だ…大丈夫か計ちゃん!?」
誰かが玄野の真上から落ちてきたのだ。落ちてきたのは、玄野たちとほぼ同世代の少年。
「ご…ごめん、って…ここは?確か僕は…」
少年は玄野たちのように周りを見渡し、何が起こったのか理解できずにいた。
「君も死にかけたの?」
少年はメガネの男の言葉を否定しなかった。落ちてきたところを考えたら、おそらく転落死と考えられる。
「はい注目!今から、順番に自己紹介してもらおうと思います。名前と死に方や職業を…」
突然メガネの男が手をあげて呼び掛けてきた。
「何だよ教師みてーに…」
美形の男がめんどくさげに呟く。
「私教師ですけど…。
私は山田雅史で、スクーターを運転してたら事故っちゃって…で、次は君」
「は?」(なんで俺からなんだよ…)
玄野は心の中で愚痴るが、真面目に自己紹介した。
「玄野計、死因はこいつの巻き添えで…」(そうだ。考えたら全部こいつのせいだ)
「…ごめん計ちゃん…俺てっきり喜んで手伝うのかと…」
8
(んな奴いるかよ!)
「じゃあ、君」
「加藤勝、電車にアタック…」
(なあ〜にが電車にアタックだよ!反省してんのか?)
加藤の発言に内心腹を立てる玄野。
「じゃあ、落ちてきた君」
「…平賀ジンです。転落死」
(?)
玄野はジンと名乗る少年のポケットに赤いメガネが入っているのを見た。
(いい年こいてウルトラマンの変身グッズなんか手に持ってやがんのかよ。恥ずかち〜…)
「じゃあ、次)」
次は老人。
「私は鈴木吾朗。テレビでよく出るけど…」
(確かあいつ、テレビで見た政治家だっけ。あいつも一度死んだのか?)
今度は美形の男だったのだが。
「あ〜俺いいから次。誰かタバコ持ってない?」
(なんだよこいつ!自己紹介しろよ!真面目に答えた俺がバカみたいじゃね〜かよ!女みてーな面しやがって…)
玄野はムカっ腹な気分で美形の男を睨む。
次は部屋の隅に座っている少年。
「西丈一郎、転落死…」
(うわっ、暗〜…しかも何こっち見てんだよ気持ち悪り〜…)
西はなぜか玄野の方に視線が向いていた。必死に彼の目線を避けようとする玄野だった。
最後は二人組のヤクザ。
「俺とこいつはヤクザ。はい終わり」
あまり追及すると何をされるのかわからないので誰も問い詰めよう
とはしなかった。
「計ちゃん、変わったなあ?」
「あ?」
加藤が口を開いてきた。
「小学校で転校する前、もっと交戦的で、まさに俺たちのリーダーみたいな感じだったよな。
確か歩道橋クラスの連中に囲まれてる時、ちょうど走ってきたトラックの上に飛び降りて飛び降りてその場を切り抜けたりしたよな。
俺頭悪いから、良くない連中の通う学校に通ってて大変だけど、計ちゃんみたいになりたいなって思ってる」
(何ガキのころの話持ちかけてんだよ。恥ずかちー、止めちくり〜…)
子供の頃の話は明かされるとやはり恥ずかしいものだ。玄野の顔は赤くなっていた。
「ん?なんだこれ?」
ジンが玄野の前の床を指差した。黒い玉から放射された光から肌色の何かがジジ…と音を鳴らしながら現れてくる。
そして…
「………………」
女の子が玄野に倒れ込んできた。しかも、服を着てなかった。
(やばいって…!下半身…///)
「うそ!マジでかわいいじゃん!」
美形の男が携帯を取り出す。
「あれ?」
加藤は女の子の手首に血が着いてるのを見つけた。
おそらく手首を切って自殺を図ろうとしたのだろう。
「血は着いてるが、傷口はないな」
加藤は指先で血を拭き取ったのだが、彼女の手首にはかすり傷もなかった。
これは一体どういうことなのだろう。
「…お前ら来るなよ」
紫のシャツを着たヤクザは女の子の手を引っ張ると、そのまま玄関の方へ歩き去った。
しばらくすると…
「きゃああああああ!!!!」
女の子のものと思われる悲鳴が聞こえてきた。
さすがに言葉や文章では何が起こってるかは言えません。
「…よし!」
「加藤…?」
加藤は立ち上がると、さっきのヤクザの男の向かった玄関に歩き出した。
「ってめえなんだこら!」
直後、ヤクザの男と殴り合う加藤。そのままリビングになだれ込んだ。
「…」
玄野は玄関に入り込むと、いつからいたのか、一匹の犬がなついたのか彼女を舐め回している。
「ちょ、ちょっと…!」
さっきの加藤の行動を見ていた玄野はさすがに襲ったら不味いし…
と自分の学ランを脱いで彼女に手渡した。
「目のやり場に困るし、俺まで襲いそうだから着なよ」
「あ…ありがとう…」
すると、突然音楽が聞こえてきた。
『あ〜たら〜しいあ〜さが来た♪希望の朝〜が♪』
ラジオ体操の音楽だった。
「げふ…ラジオ…体操の歌?」
『そ〜れいち!に!さん!』
ヤクザに投げられて苦しそうに腹を押さえる加藤。
「…『てめえらの命は無くなりました。新しい命をどう使おうが私の勝手なわけです。と言う理屈なわけだす』?」
ジンが音楽が鳴り終わった黒い玉に表示された文章を読み上げる。
「これさ、一見バカみたいな文章だけど、意外にマジだったりするんだよね」
西が言った。
「ん…?文章が…」
意味不明な文章が消えると、今度は妙な顔写真と新しい文章が表示された。顔写真に写っているのは、なんだかひ弱そうで緑色の肌、一言で現すと気持ち悪い、と言いたくなる人物だった。
「『てめえらは今からこの方をやっつけに行ってくだちい』?」

ネギ星人
特徴、弱い。
好きなもの、ネギ。
口癖、ネギだけで十分ですよ

(こんな宇宙人見たことないな…)
ジンはなぜか妙なことを心の中で呟いた。
「なんか、ゲームでも始まるのか?」
玄野が女の子を連れて黒い玉の横に立つと、いきなり黒い玉から二方向に銃や刀を保管した台が飛び出し、玄野はそれに押し潰されそうになった。
「ひゅー、本物みてーだな」
美形の男が大型銃と小型の銃を手にとる。
試しに小型銃を山田に向けて引き金を引いてみた。
「んだよこれ?おもちゃか?」
「うわああ!なにしてるんだ君は!」
「…レントゲン?」
ジンは、小型銃の激鉄らしき部分の辺りを見ると、レントゲン図のような画面が出ている。
「中に、人…?玉男?」
加藤は黒い玉を覗き込むと、中に真っ白の男が呼吸器を着けて眠っている。
「ん?」
玄野も銃とは別に薄いケースが黒い玉の中の棚に置かれてるのを見つけた。一つ取り出すと、「くろのくん」と書いてある。自分のだろうか?他には「かとうちゃ(笑)」と書いてあるものも。
「加藤、これお前のじゃないか?」
加藤はケースを開いて中身を見ると、黒いスーツのような服が出てきた。
「コスプレ…ぽいな」
「お前着る?」
「着ねーよバカ」
と二人のヤクザ。
「って、おい!畑中…!」
突如、ヤクザの一人が頭からみるみるうちに消滅していく。
彼だけではない。美形の男や山田、鈴木、西、犬、さらに加藤も頭から消えていく。
「まだ時間あるな」
「…」
玄野は自分のケースから自分のスーツを取り出すと、制服を脱いでそのスーツを着始めた。ジンもとりあえずスーツをすぐに着る。
「…完璧コスプレだな」
と一言呟く。
(きっつ!あいつなんでこんな早く着てんだよ)
黒いスーツは結構キツくできていた。そのキツさが災いしたのか…
「…//」
玄野はさっきの女の子に「あれ」を見られてしまった。
ジンは他人のフリをして無視。
そして残った彼らも黒い玉の部屋から消えた。
 

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