ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□File9
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光の国から離れた星、キング星。そこにいるのはベリアルと、ウルトラマンたちの長ウルトラマンキング。
「最近、とある星がさわがしくなってるようだな」
ベリアルに背を向け、空を見つめる姿勢でキングは言った。
「ええ、ゼロの迷い込んだ星。あいつはハルケギニアと呼んでいます」
「そうか、ゼロはそこで戦っておるのか」
「ジャックからこんな報告を聞きました」
キングは気になるのか、ベリアルの方を振り向いた。
「気になる報告?」
「あいつは、特別な力に目覚めつつあるようです。確か、左手に妙な力を感じたとジャックは言っていました」
「ガンダールヴ…か」
キングのその言葉にベリアルは驚きを隠せなかった。
「ご存知だったのですか!?」
「うむ、私もこの星からハルケギニアでの戦いを見ておった。まさか、6000年前にあの『冥王』と我らウルトラ戦士との戦いの場となった星。冥王の謀りであのような戦いが起こるとは…」
キングは思い出したく無さそうに顔を俯かせた。キングでも、見るに耐えない光景だったのだろうか。
「私は長期任務でいませんでしたが、まさかそんなことが…」
「あの戦いの後、あの星は文明をわずかにしか発展させないまま時を留め、地球以上の負のエネルギーを放出し続ける呪いをかけられてしまっている」
「呪い…ですか?」
「だが、今のお前の報告でどこか安心感を持てる気がするのだ」
「ゼロのことですか?」
「あいつが生まれた時、私はあいつから、まさに『無限の可能性』を感じたのだ。すべてを終わらせる、まさにゼロの名にふさわしい力を。
だが、それが希望となるか、そうでないかは、誰にもわからないな」
「無限の、可能性…」
ベリアルは繰り返すように小さく呟いた。
「それはそうと、お前息子はどうした?」
「あ、あいつなら…多分大丈夫ですよ。なんたって、私のバカ息子ですから」
平気そうに言うが、ベリアルは内心不安に思っていた。その息子とゼロが、ハルケギニアで起こりうるかもしれない、呪われた戦いに巻き込まれてしまうのではと。だが、少なくとも現在のゼロが巻き込まれてしまっていたことには気づかなかった。


「デュア!!」
「ガア!」
礼拝堂の中で、二体の光と闇のウルトラマンは睨み合う。ロプスゼロはかかって来いと言うように手招きして挑発する。
「デュア!!」
ゼロはロプスゼロに連続パンチを喰らわせるが、ロプスゼロはいとも簡単に防ぎきった。
「ガア!」
ロプスゼロはゼロの脇腹を蹴り、そして投げ飛ばした。
「ダアッ!」
「グア!」
ゼロは床に倒れる。ロプスゼロはそこに容赦なくゼロを蹴りまくっ
た。
「フン!」
「グアア!」
地面を転がるゼロ。対するロプスゼロは、天井に向けて突き立てら
れた中指をゼロに見せびらかす。
(F○○Kサイン…!)
今ので少し闘争本能を擽られたのか、ゼロは再び立ち上がる。
「ダアアアッ!」
「ガアアア!」
二体は互いに飛び蹴りを喰らわせようと飛び上がり、互いの足がぶ
つかり合った。
「フン!」
距離を一度置いたところで、ロプスゼロはダークゼロスラッガーを
抜いた。ゼロもゼロスラッガー(デルフ)を抜く。握った瞬間左手
のルーンが輝きを放った。
「ダアッ!」
ゼロはロプスゼロに切りかかったが、ロプスゼロはそれをダークゼロスラッガーを盾にして防ぐ。
「ダアッ!ハッ!」
「闇雲に攻撃しても無駄だ!ハア!」
ロプスゼロはゼロの攻撃を弾き飛ばし、同時にゼロは壁に突き飛ばされた。
「ウワア!?」
「どうした?立てよ?」
「グッ、ダアアア!」
ゼロは立ち上がりロプスゼロを切りつけようとするが当たらない。
〈ダークロプスメイザー!〉
「そこだ!」
単眼から破壊光線を放つロプスゼロ。
〈ウルトラゼロディフェンダー!〉
ブレスレットからすぐさま盾を出して防ぐ。が、盾越しから腕が痺れるほどの振動が伝わってくる。
ロプスゼロは光線を放ってる間にゼロの眼前に近づき、盾を蹴りあげて、ゼロは盾を奪われてしまった。
「しまっ…!」
「無駄だ!今楽にしてやる!!」
ロプスゼロはゼロを蹴り飛ばし、そして額のビームランプから必殺光線を放った。
〈ダークロプススラッシュ!〉
「デュア!」
「グアアアアア!」
その闇に似つかわしくない白き閃光により、ゼロのいた場所は大爆発を起こし、砂煙がもくもくと巻き起こる。
「フン、この程度か…まあいい、さっさとあの小娘どもを八つ裂きにして手紙をクロムウェルに…ん?」
砂煙が晴れた時、ロプスゼロは一瞬目を疑った。ゼロはまだ生きていたのだ。
「ハアアアアア…」
しかし、エネルギーが切れかけ、すでにカラータイマーが点滅している。
しまいには膝を着いてしまう。
ピコンピコンピコン…
「この死に損ないが………なに!?」
ゼロのウルトラゼロブレスレットからウルトラゼロランス、敵を切り裂くのに使うウルトラゼロスパーク、そして二本のゼロスラッガーが、自ら宙を舞い、ロプスゼロのちょうど喉元辺りに突きつけられていた。
その時のゼロのガンダールヴのルーンは、以前にも増して青く、強い輝きを解き放っている。それに呼応するように額のビームランプも緑色の輝きを強めていた。
ヨロヨロとゼロは立ち上がって口を開いた。
「誰かを傷つけるためだけの力に、意味なんかない…!俺には!」
ゼロスラッガーを頭に装着し直し、ブレスレットにゼロスパークを戻し、ロプスゼロにゼロランスの先を向けた。
「命を掛ける夢がある!」
ゼロはゼロスラッガーを手に取り、ロプスゼロに切りかかった。
「いいぜ!その心の震えだ相棒!ガンダールヴはそうやって力をため強さを発揮する!」
デルフが励ますように言った。
「何だと…一体どこにこんな力が!?」
斬撃をダークゼロスラッガーで防ぎながら、ロプスゼロは驚愕する。さっきまで全然大したことなかったのに、どこからこんな力を発揮したのだ?
「ダアアアア!」
そして、ゼロスラッガーがロプスゼロの左腕を撥ね飛ばした。
「グアアアアア!」
ロプスゼロはもぎ取られた左手の切り口を苦痛そうに押さえた。今のダメージの影響からか、カラータイマーが点滅している。
ピコンピコンピコン…
斬られたロプスゼロの左腕は、バチバチと火花を起こしている。電子のケーブルなどが切り口からいくつか飛び出ていた。
彼は本当に半分機械の戦士だったのだ。
「くっ……」
「っ、あとすこし…」
後一歩のところでゼロの体にも限界が出てきた。
それでも、L字型に両腕を組み止めを刺そうとしたがデルフが止めた。
「もう限界だろ。無茶するな!」
いや、デルフが言わなくても止めなんか刺せなかった。わずかに、ゼロの手が、躊躇うあまり震えていた。
「止めを刺さないのか?甘いな…。
いいだろう。今回は退いてやる。だが覚えておけ。すでに恐怖と絶望のカウントダウンはすでに始まっている…いずれ貴様を倒し、俺が世界を変えてやる!」
ロプスゼロは紫色のオーラに包まれ、どこかに消え去った。
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