ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□File4
1ページ/5ページ

トリステインの城下町トリスタニア。その街の真ん中にあるトリス
タニア城での会議室で緊急会議が行われた。
たくさんの貴族たちが広く作られたテーブルを囲って座っている。
その会議にはオスマン学院長と秘書のロングビルも出席している。
「数日前、二件の大事件が発生しました」
黒板に二つ、その事件の内容が簡潔に記されていた。
まず一件はトリステイン魔法学院に現れた怪鳥バードン。もう一件は、モット伯爵の屋敷付近に現れたアパテー。
その事件の内容には当然、ウルトラマンゼロの情報もあった。
ちなみにモット伯爵に関しては、その事件の数日後に死体が発見された。おそらく事件前にアパテーに殺害され、入れ換えられたのだろう。
「謎の怪鳥とゴーレム。そしてそれらと戦った巨人…ウルトラマンゼロ。果たして彼は何者なのか…。しかし、オスマン学院長の、赤い怪鳥事件の証言からすれば、ウルトラマンゼロは我々の味方と見て取れます」
オスマンの証言はこうだ。ウルトラマンはわずか三分近くしか戦えないらしい。にも関わらず、人間のために命を削ってまで怪獣と戦い、学院の生徒たちを救った。その生徒の一人を庇ったところも見受けられ、おそらく人間に害をなすことはない。
オスマンの証言で「人間の味方」と予想したのは王妃マリアンヌ。
トリステイン国王の妻で、美人で気品のある女性と言われている。
その横には娘であるアンリエッタ王女、その後ろには壮年の男性マザリーニ枢機卿が立っていた。
「いや、失礼なのは承知ですがマリアンヌ様、あの巨人をすぐ味方と決めるのは早計かと思います」
一人の貴族が異を唱えた。
「ウルトラマンはおろか、その事件で現れた怪獣の情報もいまだにおぼろけな状態なのです。現在アカデミーに赤い怪鳥の死体の解剖を急いでますが、かなりの巨体であるため時間を有します。
私は、もしもの時を考え、トリステイン国中の警備をより固めるべきと提案いたします」
もしもの時、おそらくウルトラマンが敵だということも彼らにとってはあり得ることだ。
「いや、その必要はないかと」
そこに、ド・ポアチエが異を唱えた。
「こうも考えれませんか?ウルトラマンはその怪獣どもを短時間で倒したのですよ。しかも信用性のあるオスマン殿が人間を守ったとおっしゃられた。
だとしたらウルトラマンゼロは、始祖ブリミルがお遣わせた神の使いに違いない。ならば、ウルトラマンゼロに全てを託すべきではないですか?」
「なっ…」
オスマンはそれを聞いて絶句した。
マリアンヌやアンリエッタ、マザリーニも言葉を失う。
「そうだ、そうですよ!ウルトラマンゼロは神の使いだ!」
「それに他国にも怪獣が現れれば、その国の国力は間違いなく低下いたします!その間に攻め込めば勝利は間違いない!」
「きっとウルトラマンゼロは我らトリステインが他国に攻め入る時にも力を貸してくれるはずだ!」
なんとも愚かな考えなのか。ド・ポアチエの言葉から信じられない発言が次々と出てくる。これが、自分たちが信じていた誇り高き貴族の姿なのか。オスマンやマザリーニたちは失望した。
ロングビルは誰にも気づかれないよう舌打ちした。
(ちっ、これだから貴族は信用ならないんだよ…『あいつ』が聞いてたら一体どんな顔したんだろうね…)
(ウルトラマンゼロ…主は何者なのじゃ?)
オスマンはなぜウルトラマンが人間を守るのか疑問を抱えた。もしウルトラマンがこの話を聞いていたとしたら、それでも人を守ってくれるのだろうか?
いや、きっと幻滅し、我らを守らないだろう。
オスマンはそう結論することにした。
「あの、よろしいでしょうか?」
一人、別の貴族が口を開いた。
「実は私、半年ほど前にアルビオンで見たことがあるんです」
「見たとは、一体何を?」
マリアンヌの言葉に、彼は答えた。
「ウルトラマンゼロとは別の、もう一体の巨人を」
会議室の面々は、面食らったかのように驚愕した。

ハルケギニアには、地球とは異なり曜日が五つとなっている。火、水、風、土、そして休日に虚無の曜日と言うものが存在する。
その虚無の曜日の朝のことだ。
「タバサ!起きてる!?」
キュルケは大慌てでタバサの部屋に入ってきた。
タバサにとって趣味である読書の時間は誰にも邪魔されたくないも
の。せっかくの虚無の曜日だから一人静かに本を読みたい。だから、
サイレントの魔法をかけようと杖を手に取ろうとする。
「今日は虚無の曜日…」
「ああん待って!わかってるわ!あなたにとって虚無の曜日がどれだけ大事なのかは!
でも話を聞いて!サイトを口説きたいけど、ルイズがすでに街に連れていったのよ!彼のハートを射止めたい!!これは情熱の恋なのよ!」
サイトがギーシュとの決闘で、その勇姿を見せただけでキュルケはサイトに惚れてしまっていた。
しかしキュルケはホレっぽいのと引き換えに、すぐに冷めてしまうタイプなのだ。今まで無理やり自然消滅された男たちは数知れず。
タバサは彼女の友人だからわかっているが…
「…わかった」
意外にも、キュルケの頼みは何かと聞いてくれる。この二人、結構仲がいいのだ。
「えっ!?わかってくれた!?」
「シルフィードで追う…馬で行ったの?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ