ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

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「バァアアア!」
突如、魔法学院に現れたバードンの火炎放射で学院中が消化活動や
怪我人救助でパニック状態に陥った。
しかし、貴族たちは逃げ惑う衛兵たちを見下すような目をしている。
「ミスタ・ギトー、ここは我ら貴族の力でなんとかすればよろしい
ではありませんか。
我々貴族の魔法は始祖ブリミルより与えられし神聖な力。あんな野
蛮な怪物ごときに負けるはずがないでしょう」
「そうですな。家畜同然のあの野蛮な悪魔に我らトリステイン貴族
の力を思い知らせてやろう」
明らかに、立場が弱いとは言っても同じ人間を見下している発言だ
った。
教師や腕に自信のある生徒たちは暴れるバードンに向かって杖を向
け、呪文を唱え、一斉に自らの魔力を放出した。
「ライトニングクラウド!」
「フレイムボール!」
「エア・カッター!」
雷、風の刃、炎弾がバードンに炸裂した。
「わはははは!どうだ!命知らずの野蛮な化け物め!我ら貴族の魔
法の恐ろしささえ知っておれば死なずにす…」
しかし、彼らの顔が一瞬にして恐怖の色に染まった。バードンには、
全く攻撃が通じなかった。
それもそのはずと言える。地球の歴代防衛チームは少なくとも、こ
の世界の魔法より威力がはるかに高い兵器をいくつも所持している。
もし魔法で勝てたら、地球人はウルトラマンなど必要なかったのは
確定的だ。
「なっ、何をしておる衛兵!さっさとあの化け物を片付けろ!」
遂には、恐怖心にかられる教師たちの中には、魔法の使えない衛兵
たちを無理やりバードンに突き出そうとする者がいた。しかし相手
は炎を操る未知の怪物。魔法でダメだったのに剣と槍しか使えない
人間で勝てる相手じゃない。
「無茶をおっしゃらないでください!我々の手に負える相手ではご
ざいません!」
「黙れ!私の権力をもってすれば、貴様を重罪に処することもでき
るのだぞ!それが嫌ならあの化け物を倒せ!」
なんとも愚劣な脅しなのか。サイトはその教師を鋭い目付きで睨む。
勢い余ってにらみ殺してしまいそうだ。学院長であるオスマンと同僚のコルベールは、その貴族たちの愚かな行為に失望感漂う表情を
浮かべていた。
「くそ…どうする…どうしたらいい…!」
サイトは無力な自分を呪った。せめて、自分にみんなを守るだけの力さえあれば…
とその時、青き目映い光が、バードンにぶつかり、地上に降り立った。
「ガアア!?」
一体なにが起こったのか、誰も理解しきれなかった。しかし、その光の正体を見た人々は、眩しさを忘れ、その姿を凝視する。
「…お前の相手は…」
その青き光から姿を見せた巨人は、ゆっくり立ち上がってバードンの方をを振り向く。
「この俺だ!」
「な、何あの巨人!?」
サイトを支えてたシエスタは驚きの声を上げた。
「ウルトラマン…!」
「え…サイトさん、ご存知なんですか?」
シエスタがさらに驚いたのは、サイトがゼロの姿に感涙していたこ
とだった。
「ああ、間違いない。始めてみる奴だけど、お馴染みの胸のカラータイマーもあるし、あの姿…どこからどう見ても、見間違いなんかできねえ…
俺の故郷をなんども救った戦士…ウルトラマン!」
そのサイトの言葉を聞いていたタバサは、あの夜のことを思い出した。
自分を助けたあの銀色の巨人が、自分に向けてくれた眼差しを…。
「ウルトラ…マン…」


今から数刻前、M78星雲光の国。
ここには、ウルトラマンと呼ばれる超戦士たちが住んでおり、宇宙の平和を守るために永い間、侵略者と戦い続けてきた。
そんなある日のこと…
「…………………」
ウルトラセブンの息子である若きウルトラ戦士、ウルトラマンゼロは、宇宙警備隊本部で父親を待っていた。
「ゼロ」
赤いマントを羽織ったウルトラセブンがようやくゼロの前に現れた。
「おせえぞ。親父」
「そう言うな。完成にかなり時間を費やしてな」
セブンはゼロに、青く細長い三角形のアイテムを手渡した。
「すげえ…触っただけで力がみなぎる感じがする」
「『ウルトラゼロブレスレット』。お前のために作った特注品だ。無くしたりするなよ」
「サンキュー、親父。これなら、怪獣が百体現れても余裕で勝てる
ぜ」
ビシッ!とガッツポーズを決めるゼロ。
「こら、調子に乗るな。やっぱり、まだまだ子供だな」
「おい、ガキ扱いすんなよ!」
「だから平気でレオの修行をサボれるんだな」
「う゛…」
そう言った時、ゼロは自分の背後にとてつもない気配を感じた。
光の国は、プラズマスパークコアと呼ばれる人工太陽がある。遥か
昔、まだ地球人と全くと言っていいほどそっくりだった頃の光の国
の住人たちが、消滅した太陽に代わるものとして作り、その膨大な
エネルギーを浴びたことでこの星の人々はウルトラマンとなった。
同時に、その暖かいエネルギーはこの星に冬をもたらさない。だか
らこの国のウルトラマンは寒さに弱い。だが、今ゼロが感じ取った
のは、その寒さ以上に背筋を凍らせた。
「ゼぇ〜ロぉ〜…」
ウルトラセブンの弟子であり、ゼロの師である、ウルトラ兄弟七番
目の戦士、ウルトラマンレオが凄まじい威圧感を放出して立ってい
た。
「れ、レオ?あいや、師匠?あの〜、ご機嫌悪そうですが…?」
ゼロは目上の相手も呼び捨てにするほど口が悪い。なのに、なぜが
わざとらしく下手な敬語を使った。
「当たり前だ…お前、この前俺が出した課題をサボってたよな…?」
「か、課題?それは何のお話で…」
「すっとぼけるなこのくそガキゃああああああ!!!!!!!!!
!!!!!」
〈レオキック!〉
数々の強敵を倒したレオの必殺キックが、ゼロのこめかみにクリー
ンヒット。
鬼コーチモード全快である。
「ぎゃあああああああ!!!!!!!!」
「…」
セブンは目を背け、他人のふりをしている。
「ちょ…親父見てないで助け…」
レオにヘッドロックを喰らい、父に助けを求めるゼロだか、セブン
は口笛を吹いている。
「怪獣が百体現れても余裕で勝てるのだろ?なら、レオが相手でも
勝てるんじゃなかったのか?」
「前言撤回!お助けえええええええ!!!!!!!!」
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