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□最終回2
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その後、テファは瑞生に案内され楽屋に来た。
「ごめんね。やっぱり楽屋なだけあって散らかってるわね…憐も少しは片付け上手にならないのかしら」
瑞生は愚痴を溢しながらも、一杯の水を汲んだコップをテファに手渡す。
テファも孤児院の子どもたちのために家事をやってきたから、この散らかりように深刻さを実感した。ダンボールの山と紙の山だらけの机、あちこちに散乱している動物の着ぐるみ。これは、以前シュウヘイから聞かされたとおりひどい有様だ。
「シュウヘイから聞いてたんですけど、憐さ…ううん、憐が聞いていた通りの人で安心したわ。瑞生さんとも仲がいいみたいだし…」
「そ、そんなことまで言ってたのね…」
少し顔を赤くしながら瑞生は呟いた。
「そういえば、シュウヘイはあなたと暮らしてた時、プライベートの時はどんなことしてたの?」
「それはですね…」
瑞生のその質問から、テファと瑞生は初対面なのに以前から親しい友人同士のようにガールズトークを満喫した。
くだらないことから真剣なことまで多くのことを話した。
その日、特別にその楽屋の、シュウヘイが使っていた部屋で泊めてもらったテファ。ただ、彼が以前使っていたという部屋で変な緊張感もあったそうだが。

「お世話になりました」
翌日、テファはいつまでも留まるわけにもいかず、憐たちに別れを告げた。
「またいつでも来なよ。歓迎するから。なるべくあいつも連れてさ」
「ああ、あいつには人が心配して待っている間にこんなイイ彼女を作ってヘラヘラした罰としてアイアンクローを…」
「ほら、馬鹿言ってないで見送りましょ」
尾白は未だにテファと恋仲になったシュウヘイに憤慨したままだ。瑞生はそんな彼をなだめながら見送るように言った。
「じゃあ、また来ます。今度は、彼も連れて」
「ああ!それまで元気でな!」
憐たちの笑顔にテファは頷き、『世界扉』でゲートを作り出してその世界を後にした。

いつか、ここで彼と一緒に歩いてみたい。そのためにも…。

ゲートを通って彼女はエメラダ星に戻ってきた。だが、ただ戻ってきたわけではない。
今は彼を探しているのだ。またいつ仕事でこんな暇ができるかわからない。今のうちに怪しいと思える場所を探っていった。だが、結局彼のいた地球に彼はいなかった。

(もう一度、行ってみようかな)

あの場所に…。
私と彼が初めて会ったあの場所に。
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