創作新選組

□どんちゃん騒ぎ
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辺りは陽も暮れ真っ暗に。
酒だ酒だとどんちゃん騒ぎ。

「美味ぇ酒を貰ったんだ!今日は飲みまくろうぜェ!」
新八が酒の瓶を片手に騒ぎ出す。

「さすが新八っつぁん!早く飲もうぜ!」
目をキラキラと輝かせる平助。

「たまには皆でこうして飲むのもいいなぁ。…おい、斎藤!お前も来いよお!」
たまたま通りかかった斎藤を手招きする左之助。

「…いや、俺は遠慮しておく。」

ちら、と三人を一瞥し、さも興味がないかのように去ろうとする斎藤。

「いいじゃねーかー。俺、斎藤と飲んだことないんだ。たまには飲もうぜー!」
そう言って斎藤の腰にしがみついた平助。

「…なっ、やめろ!俺は五月蝿いのが嫌いなんだ。」

「え…!斎藤、俺のことが嫌い、なのか…!?」
衝撃を受けたような、恐ろしい顔のまま、腰にしがみつく。

「だ、誰もそんなことは言って…」
「うわあああん酷いぜ斎藤!お前がそんな奴だったとはな!」
もう酔っぱらっているのか、一段と五月蝿くなった新八にも抱き着かれる。

「ぐ…、重い、暑い、離れろ…っ」
男二人に抱き着かれ身動きが完全に封鎖されたところに、今度は見知った穏やかな声が。

「ふふ、皆さんなんだか楽しそうですね。」
「そ、総司!どこから湧いてきやがった!」
音もなく表れる沖田に毎度のこと驚かされる左之助。

「総司も一緒に飲もうぜー!」
「そ、総司…助けてくれ…、」
「僕も混ぜてください!」
「なに…っ!?」

助けを求め沖田に頼むが、見事に打ち破られた。


なんだかんだで結局、五人で飲んでいる。

「このお酒、美味しいですねぇ。」
「だろ?いっぱい飲めよな!」
「何あたかも自分の酒のように振る舞ってんだよ平助。」
「ほら、斎藤ももっと飲め!」

いや、俺は。断ろうとしたが、なみなみと注がれてしまい、つい飲んでしまう。

だんだん皆が酔い始めた頃。

「あーらほいっさー!!」
左之助は服を脱ぎ始め腹躍りを開始。

「うう…っ、土方さんは酷ぇと思わねえか?ぐすん。俺だって…、俺だって頑張ってんのによぉおおおお゙え゙ええええ。」

「ちょっと平助くん。顔から出るもの全部出てますよ。」
平助は泣き上戸でひたすら泣き続け。

「あーっはっはっはっはっ、…はぁ!?てめぇなめてんのかこの新八様をよお!!」
新八は笑い上戸に怒り上戸。笑ったり怒ったりと表情をころころ変え、なんだか忙しそうだ。

「うう゛、気持ち悪い…、」
斎藤は沢山飲みすぎたせいか、沖田の膝の上でぐったりとしている。

唯一酔っていないのは沖田だけ。

顔から全てのものを垂れ流している平助に紙を渡したり、膝の上でぐったりしている斎藤の頭を撫でたりしていた。

「…む、総司、お前は酒に強いんだな…。」
「ふふ、自分ではそうは思わないんですけどねぇ。」

一体どれほどの酒を飲ませたら沖田は酔うのだろうかと疑問に思う斎藤だが、酔っぱらって原田や平助のようになってしまうのも困ると思い、やめておく。

「うおぅい!総司ももっと飲め飲めー!」
「ふふふ、左之さんももっと飲んだらどうです?」

はい、どうぞ、 となみなみ注いだ酒を渡す沖田。

「…も、もう辞めた方が良いのでは…、」
「ふふ、もっと飲ませてあげましょうよ。」
「んぐご…!?」
そう言って酒の瓶ごと、左之助の口にぶちこんだ。

斎藤は考えた。
まさか、総司も酔っぱらっているのか、と。

「そ、総司、もうそろそろ部屋に戻った方が…、」
「そうですねぇ。この人たちは、おいていっちゃいましょう。」

にこにこと、帰り際に襖を閉めず、全開にして出ていった沖田と斎藤。

「…襖を閉め忘れているぞ。」
「いいんですよう、これで。」


暫くすると、騒ぎに駆けつけた土方にこっぴどく怒られている三人の姿があった。

「またおめぇらは派手に騒ぎやがって!」

(総司の奴、どこに行ったんだよ!)
(なんで俺たちがこんな目に…)
(なんで俺、酒の瓶くわえてんだ…!?)


(襖を開けておけば、廊下に全部まる聞こえになりますからね、あはは。)
(………。)


どんちゃん騒ぎ。

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