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□空白。
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『合同合宿…?』
「そう、清澄高校から招待が来てるの。」

 予選が終わって直ぐに、清澄高校麻雀部から四校合同合宿の誘いが届いた。上埜さんの名前で、私に。私だけに宛てられて居る訳じゃ無いのに、凄く…嬉しくて。だけど団体で全国に行けない私達風越が誘いを受けても善いものか、一人では判断が出来ない。そこで、後輩に相談して居るのだ。部活を終えた帰り道で、私を慕ってくれる後輩に。

『受けましょう、キャプテン、!』

池田華菜、学年は私の1つ下。彼女は入部した当初から私を慕って、良く話しかけてくれる。そんな彼女の迷いの感じられない、真っ直ぐな言葉。
「だけど…、華菜。私達は団体戦には『解ってます』
『キャプテンは個人戦の為に、私達は来年に向けてのスキルアップ。キャプテンは優しい人だから、色々考えて迷ってるんだろうけど、私は…。』

私の言葉を遮った華菜。不意に表情が芳しく無い、気が為る。

「華菜…、?」

『――〜ッとにかくッ、!断らないで下さいね。皆もきっと、絶対同じ事言うと思いますから。』

捨て台詞のようだった。自分はこっちだから、と聞き返す間も無く走って行ってしまう。次第に見えなくなっていく華菜の背中を見送りながら、もう一度考えてみる。


(――…合宿、…上埜さん、―――。)

  
  
 
 
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