天魔(エンビル)

□姉弟喧嘩
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暗い部屋の中、火花が飛び散っていた。

「で〜きた!」

青紫色の髪につけた、星の髪飾りがキラリと光る。



リヴは暇を持て余していた。地面に絵を描いてみたり、石ころを転がしてみたり…。

天界に行っても良いのだが、この前の魔獣騒動でしばらくの間は行かない方が身のためである、と考えたのだ。

「超ひーまー!」

リヴの空しい叫びは、遠くにある山に吸い込まれるのだった。

「あ!!そういえば…」

リヴは口元を吊り上げ、自分の家に戻った。



リヴの家の地下にある暗い部屋に、リヴは明かりをつけた。
その部屋には、機械を作るための工具や高性能なコンピュータが置かれている。他にも設計図だろうか、たくさんの紙や本が棚の中に収納されていた。

リヴは机上に置いている大きな筒状の機械を手に取った。

「レーザー銃ね!これを使って…」

誰にも気付かれないように気をつけながら、リヴは家を出た。



「ない…、ないぞ!」

リヴがレーザー銃を持ち去って、しばらくした後のことだった。リヴの家の地下室で、悪魔の男の子が机の上をあさっていた。その側で、メスの魔獣が心配そうに見ていた。

「ルーヴ様、アタクシ探して来ますわ!」

「いや、待って…。見当はついている」

青紫の髪で赤い瞳の少年悪魔、ルーヴは魔獣を連れて空を飛んだ。



「何を壊そうかな〜?」

リヴは周りを見渡した。そして、手頃な高い山を見つけた。

「試しにあの山をぶっ壊しちゃお!」

レーザー銃を肩に担ぎ、山を狙った。そして、発射ボタンを押した…その時だ。

「キャッ!」

レーザー銃から電撃が放たれ、リヴは思わず銃から手を離した。

「何よ、コレ…。不良品じゃない」

リヴは銃を蹴り飛ばした。その途端、レーザーが放たれ、周りにある石や枯れ草など、いろんな物を壊した。
リヴはレーザーに当たりかけたが、サッと避けた。

「やっぱり姉ちゃんのせいだったんだね」

空からルーヴが飛んできた。
リヴは気まずそうな顔をして、その場から逃げようとした。

「ラミ、捕まえて」

「はい、喜んで!」

ルーヴが連れている魔獣、ラミは魔法でハンマーを取り出した。

「待てゴラー!!」

ラミは鬼のような形相でリヴを追いかけた。そのスピードはまるで隼だ。リヴはすぐに捕まってしまった。

「捕まえましたわ!ルーヴ様」

リヴは抵抗し、暴れた。

「離しなさいよっ!」

ラミはリヴを冷ややかな目で睨んだ。そして、嘲笑う。

「黙れ、クソアマ」

「ムカつくぅ!!」

「落ち着いてよ、二人とも」

ルーヴが睨み合う二人をなだめた。

「ところで姉ちゃん、何度言ったらわかるの?僕の許可なく、発明品に触るなって」

「アンタに言ったって貸してくれないくせにっ!」

ルーヴはため息をついた。

「それは、僕にしか扱えないものだけ。姉ちゃんでも使えそうなものだったら貸すよ」

「それ…嫌味?」

リヴはルーヴを睨んだ。ルーヴは冷たい目でリヴを睨み返した。

「あのレーザー銃はまだ完成していなかったのに、姉ちゃんのせいでまた作り直さなくちゃいけないじゃないか!
お小遣、ちょうだいよね」

「嫌よ!だいたい、アタイよりたくさん貰ってるくせに」

姉弟睨み合いがしばらく続く。

「ラミ、もう離していいよ。姉ちゃんは頑固っていうことが、改めてわかったから」

「はい!」

「頑固はどっちよっ!」

ラミは手を離した。そして、リヴに向かって舌を出し、ルーヴについていった。

「キーッ!ほんっとムカつく、生意気小僧!!ガキのくせして…」

短気な姉につくづく呆れる弟なのであった…。


次の話→宝石を取っちゃおう!

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