『Do I hear the wedding bells rinding?』

チリン

「あのー…」

「いらっしゃいませ。先程お電話をくださった方ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

「はい…」

「そちらのお席へ」

「はい。あ…」

「どうかなさいましたか?」

「どうしようかしら。私、印鑑を忘れてしまったみたいで…」

「そうですか。えーっと…」

「大丈夫です。書類は後日こちらに届けていただくか、郵送でお送りください」

「高野さん」

「すみません。そうさせていただきます」

「どうか気になさらないでください。それで…」

「おかげさまで、彼とは上手くいっています。ほら、結婚指輪」

「あ…おめでとうございます!」

「ふふふ、初めて会った時は何だか頼りないなって思ったんですけど、実際話をしてみたらとても良い人だったんです。ぶっきらぼうなのに、どこか生真面目で」

「そう言っていただけると、こちらとしても嬉しいです。ご結婚はいつになさいますか?」

「そうね…。彼は仕事が忙しいみたいだから、またじっくり相談して決めさせていただくわ。今日は私のお話を聞いてくださってありがとう」

「いえ、私の方こそ喜ばしいご報告をいただけて良かったです。こちらこそ、本当にありがとうございました」

「じゃあ私は、これにて失礼させていただきますね」

「はい」

チリン

「ありがとうございました」

「今週中にでも、またそちらに連絡するわ」

「はい。お電話、お待ちしております」

バタン

「ふー…」

「よく頑張ったな」

「あ、高野さん。さっきの、ありがとうございました」

「別に。午後からまた予約入っているんだから、しっかりやれよ」

「はい!」

Do I hear the wedding bells rinding?

もう結婚間近だね


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