作品1
□第一回企画『バレンタイン』
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二度目のバレンタイン
オレンジな包みにベージュなリボンを巻いて、小さな花を付けた。
アイツにあうように精一杯シンプルに。
その代わり、中の主役は思いきりかわいくしてやった。
アイツの困った顔が浮かぶ。
あたしの好きな人、夏来はちょうど一年前学校の下駄箱の前で出会った。
サッカーのユニフォームを来た夏来は最高にかっこよかった。
あたしは一目惚れで、1日遅れのチョコレートを渡して、告白した。
返事はNO。まぁいきなりだったから、しょうがない。
でもかなりアピールしたら半年後、OKを貰った。
夏来はクールなやつで、あたしも恋愛にはサバサバしてたからそんなラブラブではなかったけど、ちゃんとお互いに思い合ってた。
本当にアイツといると幸せだった。
あたしは手に持った箱を夏来の下駄箱に入れる。
もうここにアイツが来ることはないけど。
あたしは涙が溢れてきた。
もう決めた筈なのに。
「夏来、夏来、夏来、」
夏来と出会ってちょうど一年だよ。
あたしはここにいるよ。
「ばいばい。」
あたしは走った。
夏来の「ありがとう」が聞こえた気がする。
あたしは空を見上げる。
夏来がいるかは分からないけど。
「ちゃんと全部食べなさいよ。」
あたしは右手で涙を拭った。
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