Novel

□血の盟約
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左手に持つ瞬皇の残弾が零に、右手に持つ破王の残弾が二発になったところで少年は破王から小さな刃を取り出した。
剃刀の刃のように薄く鋭い光を放つその刃は、確かに切れ味は良さそうだが、少年が敵とやり合うには余りにも小さすぎる。
相手もそれを感じバカにしたような笑みを浮かべながら少年への攻撃は一層激しくなった。
少年はギリギリのところで銃弾をかわし、かわしきれない物は銃身で受けた。

一瞬、本当に一瞬だけ銃弾の嵐が途切れた瞬間に、少年は左手に持った小さな刃で自分の右手首を切り裂いた。
その少年の突然の行動に、少年の敵は怯んだ。
普通、戦場で自らの体に傷を付ける者はいないからだ。

少年の白く細い手首から吹き出すように流れる大量の血液が、敵の視界を赤く染める。
地面に溜まっていた少年以外の血液の上にも飛び散って混ざり合った。
それでも足りないと言うように、少年はもう一度深く右手首を切った。
さっきより勢いは劣るがそれでも大量の血液が飛び散った。
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