闘神の章〜幽助×蔵馬〜

□【Only one〜ずっと二人で〜】
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広い宇宙の中でこの星に生まれついた事......

何十億とある出会いの中から巡り会えた事......

そして今貴方が隣で笑ってる事......

その全てが奇跡の積み重ね。
だけど、これからの時間は二人で作り上げていく必然。

ずっと先も一番近くで言えたらいい。
大切な貴方に......


---HAPPY BIRTHDAY-----




「もう〜!何がどうなったらこんな状況になるんですか!?」


滅多に言葉にしない文句が口をつく。



「すまん!蔵馬。あいつらこうなったら、どうにもなんねぇ」


そんなの言われなくても、目の前の状況を見れば一目瞭然。

部屋のあちらこちらに散らばる空の酒瓶に、立ち込めるアルコールの匂い。

そして酒に飲まれて上機嫌で大騒ぎする男臭い7人......


「よりにもよってこんな日に....」




幽助の誕生日-----



いつものように、特別な日になるはずだった。

生まれた年のワイン、幽助の大好物だけが並ぶ食卓、そして二人で祝う時間.....

ささやかだけど二人だけの幸せの時間を過ごすはずだったのに......


珍しく鳴り止まないチャイムに玄関を開けた瞬間、流れこんで来たのは全てをぶち壊す騒がしい集団。


「幽助の誕生日を祝うべ!!!!」


どこで聞きつけたのか、ズカズカと部屋に入り込んできたのは人間界に全く溶け込んでない6人。

そして最後尾には申し訳なさそうに頭をかく、幽助の大親友。


「悪ぃ、つい口を滑らしちまって」


"原因は君ですか!"と軽く一睨みするも、その仕草はどこか可愛らしく。

せっかく来た集団を追い返すなんて出来ず、結局は諦めモード。

騒がしいだけの集団が近所迷惑にならないように、結界を張る気遣いまでして。
さすがにテーブルの上のワインをがぶ飲みされた時には、オジギ草を召喚しかけたけど。


少し頭を冷やそうと、買い出しついでに外の空気を吸ってこようと部屋を出たのが1時間前。
一緒に行くと粘る幽助を"主役が抜けてどうするの!"と何とか説得し、両手一杯に買い物袋を抱えて戻ってきた時には手が付けられない程の惨状が広がってた。


たった1時間で飲む量ですか?!と突っ込まずにはいられない数の残骸に、呆れを通り越して感心すらしてしまう。


「ほら!蔵馬も飲むべよ!」



「蔵馬〜っっ!こっちに来て酌をしろ〜!」


「つまみだ!つまみ持ってこ〜い!」



口々に好き勝手まくし立てる集団に、満面の愛想笑いを向けて1階の台所に向かった。



----せっかくの誕生日なのに-----



「蔵馬」


名前を呼ばれて振り向くと何だかバツの悪そうな幽助が立っていた。


「ゴメンな。何かこんな事になっちまって」



「幽助の所為じゃないよ。タイミングが悪かっ.....」


言い終わらないうちに、身体がすっぽりと幽助の腕の中に閉じこめられていた。


「せっかく二人きりで過ごす時間だったのにな」



「幽助.....」



一緒に過ごしたかったのは蔵馬だけじゃない。

幽助の想いも同じ......


時が止まった空間をまたもや酔っ払いの声が引き裂いた。



「幽助〜っっ!戻ってこいや〜!」


「飲み比べだ、飲み比べぇ!!!!!」



「二人してどこ消えただ〜??????」


諦めの溜め息を一つ零して蔵馬の身体がそっと離れた。



「ほら、みんなが呼んでるよ」



「けど、蔵馬っ....」



未だ名残惜しそうな幽助の背中を押す。


「いいよ、今年は酔っ払いと過ごす誕生日で。変わった趣向もたまにはね」



本当は二人きりで過ごしたかった....

だけど何だかんだで、ああして集まるのは皆が幽助を慕っているから。

だから人徳に免じて今年は......
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