闘神の章〜幽助×蔵馬〜

□【Memory】
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初めから気にはなっていた。

透き通るような白い肌、柔らかく靡く深紅の長い髪、吸い込まれそうな翡翠の瞳。。。

どれをとっても完璧で、何一つ欠ける事なくその美しさを創り出している。神というものが存在するのなら、よくもまあ此ほどの最高傑作を創造したもんだと思ったよ。あ〜、そのしわ寄せが桑原のやつにいっちまったんだな〜と検討外れに納得しちまう位あいつは綺麗で。

あの時、何で暗黒鏡に手を伸ばしたか分からない。体が勝手に動いちまった。

覚えてるのは“こいつは死なせたくい”という感情だけ。

不思議だよな。お互いの事よく知らねぇ〜のに。死なせたくないなんて。

案の定あいつは翡翠の瞳をまん丸く見開いて、信じられないって顔してた。緊迫した状況だってのに、



-----可愛い------



なんて思った俺はいつの間にかあいつに捕らわれてたんだな。




「。。。っ、母さん!」




駆け出したあいつがふと振り返った。ゆっくりと。




(薔薇の香り........?)



瞬間、刻が止まった。深紅の髪をフワリとそよがせてた風もその役割を忘れて。



「ありがとう.........」




頬に一筋の雫をつたわせて、少し戸惑った微笑みを俺に向けてた。しぼんでた花がおずおずと、それでも満開に咲き誇る途中のような......


初めて見せてくれた笑顔だった.........
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