時空を超えて
□遙かなる世界で
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時は遡り少し前。
「あー!ながれ〜次は芸術だよー!早くね〜!」
「了解っ!先行ってて!」
友人の言葉に応え、次の授業の道具を持ち、急いで教室を出た。
芸術室への近道のため、渡り廊下を通ろうと階段を下りて渡り廊下に入る前に見慣れた人達が見えたので、声をかけることにした。
「望美先輩!将臣先輩!ゆず〜!」
と声をかけると、
「あ!ながれちゃん丁度いいところに!あのね、クリスマスの事なんだけど!」
「おー!ながれ。次は、芸術かー?まためんどくせー授業だな」
「ながれ!そのあだ名で呼ぶなっていつもいってるだろ!」
それぞれ別なことを言ってきたので、順々に
「クリスマス…あー!もうそんな時期ですか!?早いですね…去年も楽しかったですし、今年はどうしましょうか…。仕方ないですよ、将臣先輩。これが学生の本業ですから。で、譲は、こう呼んだ方が、早く反応するでしょ?」
と、答えた 。
ーーシャーンーー
ーーシャー…ンーー
……鈴の、音……?
目だけをみんなに分からない程度に動かしてみるが、周りにはなにもない…
(空耳……かな?)
と、少し小首を傾げて考えていると、隣にいた譲に、「どうしたんだ?」と、問いかけられたから、首を横に振って、「なんでもない」と、答えた。
とーーすると、
「ぁ…どうしたの?」
望美先輩が、ふと中庭を見て、言葉を発したので、気になってそちらをむくと、
「ねぇ、大丈夫?君、どこの子?」
白銀のような、水色のような、綺麗な絹の糸のような髪の毛を流している、少……年?が、……浮かんでる!?
望美先輩は、そこにはツッコミをいれず、その子に問いかけていて、
聞こえた声が、
「私の………神子」
合図だった。
その子の言葉が聞こえた瞬間、雨がしとしとと、降っていただけなのに、川のように大量の水が、私たち4人を巻き込む
「先輩っ!」
「ゆ、譲くんっ!あぁ!将臣くん!ながれちゃん!」
「俺は、大丈夫っ、だっ!譲!」
「まっ将臣先輩っ!だ、だめ、もう、ちからがっ」
「兄さっ!」
ザバーン!!
更に強い波が私と、将臣先輩。望美先輩と、譲の間に入り、そして、私と、将臣先輩の手が離れ……
「将臣くん!ながれちゃん!」
「望美ちゃ……っ」
私の声は、彼女に届かず、彼女の声を最後に、波に呑み込まれた。
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