時空の流れに身を任せ
□那智の滝に月が降る2
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それから数日後、ヒノエくんは京に行ってしまった
初めて会った日に言っていた、"目的の物"がとうとう来たらしい
私も行きたいと言ったのだけれど、ヒノエくんと、湛快さんや、ヒノエくんのお母さん…屋敷にいる人達に反対されてしまった
「じゃあ、##NAME1##。これから俺は京に行ってくるよ。親父に変なことされないように気を付けろよ?」
「…湛快さんは、いい人だと思うんだけど…」
私の返事を聞くとはぁ…とまるでわかっていないと言いたそうにため息をつき
「いい子に待っているんだよ。…そうだ、##NAME1##京に行って欲しいものとかはあるかい?」
そう尋ねられれば、少しばかり考えてから
「そうだなぁ…特には、ないかな?」
そう答えれば、またため息をつかれて
「お前ってやつは…」
「?」
よくわからないのできょとんとしていると、頭をくしゃくしゃと撫でられ、何時もの不敵な笑みで
「分かったよ。じゃあ、俺がいいと思ったもの全て##NAME1##…お前に贈るからな」
「すべ…っ!そ、そんなにいらないよっ」
ひとつでいいからと言うと、「まぁ任せろって」と言ってまた撫でられた…きっとわかってない。
「…あ、そうだ…ヒノエくん」
ひとつだけ、お願いがあるんだけど…
そういうと、嬉しそうに「なんだい?姫君」と言われ、"姫君"と言う言葉に恥ずかしくなりそれやめてよっと言いながら、話を続け
「前に話した、私の幼なじみの…春日望美ちゃんと、有川将臣くん、有川譲くんを見つけたら教えてほしいの…ううん。危ない目に遭ってなければ、それでいいんだけど…」
そういうと、またため息をつかれ…今日だけで何回ため息をつけさせたんだろうと考えていると、上から「わかった」と聞こえ、顔をあげると何時ものヒノエくんがいて…表情は苦笑いだったけれど
「お前は本当に欲がないなぁ…ふふっわかったよ、##NAME1##」
「ありがとう!」
笑ってそう言うと、
「やっぱりお前は笑っている方がいいな」
そう言って、私の顎を優しくつかむと、頬に柔らかいものが触れた…それが、唇だって気づいたのは少しあとで
「!?ひ、ヒノエくん!?」
「ふふっ、相変わらず可愛いね」
もーっと怒ったが、私はふぅと息をつき、微笑み改めて
「気をつけてね?怪我しないでね?」
「わかっているよ。━━いってくるよ」
「うん。いってらっしゃい」
そう言って、ヒノエくんが見えなくなるまで見送った
「あいつはもういったか?」
隣に湛快さんが来て、出発の確認をしたので、見送りに来ればよかったのにと言えば、「んなことするか」と言われて、湛快さんの大きな手でわしゃわしゃと頭を撫でられた
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