short
□CaLling you
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溜息くらいは許されるだろう。
こんな時間に、そんな理由で電話してきて。
さらに面倒なことに、
こういう時は彼の話を聞かされるのがお約束なのだ。
『…俺とヒナが一緒に暮らしてて、ヒナが毎朝…おはようのキスをくれるの、』
「……うん」
何その設定。
俺そんなこと間違ってもしないと思うけど。
まあいいや、突っ込むのも面倒。
『でも朝になっても起こしに来なくて、一人で目が覚めて…ヒナ探すんだけど』
どこにもいないんだ
あんまり情けない声で、彼が言うもんだから、
俺は何も、言葉を返せない。
『ヒナ、そこにいるよね』
「今まさに電話してるけど?」
『…よかった、安心して眠れる。おやすみヒナ、ありがとうね』
電話の向こう、彼の表情は容易に推測できた。
きっと可愛い顔してるに違いない。
「隆也おやすみ」