short


□CaLling you
2ページ/3ページ



溜息くらいは許されるだろう。
こんな時間に、そんな理由で電話してきて。

さらに面倒なことに、
こういう時は彼の話を聞かされるのがお約束なのだ。


『…俺とヒナが一緒に暮らしてて、ヒナが毎朝…おはようのキスをくれるの、』


「……うん」


何その設定。
俺そんなこと間違ってもしないと思うけど。

まあいいや、突っ込むのも面倒。


『でも朝になっても起こしに来なくて、一人で目が覚めて…ヒナ探すんだけど』



どこにもいないんだ



あんまり情けない声で、彼が言うもんだから、
俺は何も、言葉を返せない。


『ヒナ、そこにいるよね』


「今まさに電話してるけど?」


『…よかった、安心して眠れる。おやすみヒナ、ありがとうね』


電話の向こう、彼の表情は容易に推測できた。
きっと可愛い顔してるに違いない。


「隆也おやすみ」



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ