本棚(短編)
□Who are you?
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分厚いハードカバーを振り下ろせば、ゴツンという鈍い音が響いた。
その衝撃に連動してか、机の上の書類の束がバサバサと音をたてて落ちる。
…また掃除しないとだな…。
俺が大きな溜め息をついたと同時に、目の前の茶色が動き出した。
そう、俺がさっき本で叩いたものだ。
「………?」
「起きて下さい。昼からの講義に遅れちゃいます」
「…こーぎ……?俺もう学生じゃないよぉ…」
「俺の講義だよ!」
バンッ、と机を叩く。彼は相変わらずヘラヘラと笑っていた。
「…じゃあ、出かけますか!」
白く細い指が、お気に入りの黒いハットを掴んだ。