『藤原視点』




繋がれた手から感じる熱も。

ぐいぐいと、ちょっと強引に僕の腕を引っ張る其の力強さも。



あの頃から何一つ変わらへんハズなのに




「ねぇ、五月。此処で良い??」
「う、うんっ///」


くるりと振り返って僕を真っ直ぐ見詰めた駿也の表情は




「なら、決まりだね」



昔より大分大人びてて

昔よりかなり柔らかくて



だけど、昔にも増して意地悪な笑みやった―――







『なにせ僕は踊らされているのだから』




「あぅー…結婚、かぁ。今まで考えた事もあらへんかったわぁ」


此処はホテルのロビー。


そして僕の彼氏、つまり相模駿也は今受付で空き部屋があるか確認しとる最中やった。



そんな中、僕はモデルという立場もありなるべく客やスタッフに顔を見られへん様コソコソとホテルの端っこで目立たないよう存在を消しとったんやけど。




「けど‥駿也のお嫁さんかぁ///へへっ、めっちゃ恥ずかしいけど…めっちゃ嬉しいなぁ!!」



昔から無愛想な駿也からの思わぬプロポーズが自分でも思った以上に嬉しかったらしく


自然、にへらと表情が緩んでまう。



やってまさかあの駿也が自分から



『結婚しよう??』

なんて言うとはフツー思わんやろ??


あの駿也がやで?!


ぶっきらぼうで年上相手やろーと愛想の欠片もあらへん神経図太い駿也がやで??


そら僕かて驚くわ。


ほんでもな




「……指輪やなくても。駿也がくれるモンならうち、何でも嬉しいわ///」



首に下がるネックレスを見ると


あぁ、さっきのプロポーズは夢や無かったんやなぁ。って実感が持てるから。


むふ。と小さく笑った僕はチラリと受付から戻って来た恋人を横目で見詰めてやった。



すると


「部屋、取って来たよ」
「ん、ありがとう」

ホテルのキーを片手に持った駿也が早速腕を差し出して来たから。


マスコミとか、ファンとか、いつも他人の目を気にして行動するんやけど



「じゃあ先に此処のホテルで飯食行こっか」
「わーい!!うち、バイキングがえぇ!!」
「はいはい、五月は痩せの大食いだからね。其れ位言わなくても分かってるって」
「へへっ♪」


僕だけに見せてくれる、駿也のふわりとした優しい笑顔を前にしたらそんなんもうどーでも良くって。



其の、腰に当てがわれ組まれた腕に絡み付かない選択肢なんて自分の中には無いわぁ。と思った僕は躊躇いも無く其の腕に抱き付いてやった。




そうすれば


「わっ///何するんだよ五月、急に抱きついたりしたら危ないだろ??」


なんて酷く驚いた表情を駿也が僕に向けるから。

ちょっとだけ意地悪したくなった僕はこんな事をゆうてやったんや。



「えーやん、どーせ駿也は現役Jリーガーなんやからうちを受け止めるくらい朝飯前やろー??」


って。

案の定、駿也はむ。と口をへの字に曲げてみせた。




英都学園サッカー部のエースストライカー。

其の評判と活躍は他校は勿論、当時のサッカー業界を賑わせ、かなりの話題となっとった。


そしてたまたま試合を見に来ていたスカウトマンの目に留まり、高校生にして其の才能を買われてプロ入りを果たしたんや。



そんな天才的サッカーセンスの持ち主だった駿也は大学に通いながら、『FC東京』の代表メンバーとして現在試合に出場中でもあった。



其れを考えると僕より先を歩いている様でズルイなぁ。なんて思うんねんけど。




「言ってくれるジャン。何なら…受け止めると言わずにそのままお姫様抱っこしてやろうか??」
「ッ///阿呆!!恥ずかしいからぜーったいそんなんお断りや!!」
「チェ、残念」



そう言って拗ねる駿也の顔にはまだほんの少し少年っぽさが残っとって安心する。




其れでも



「………なぁにが残念や///」
「そりゃ残念デショ。好きな子をお姫様抱っこするのは男の夢だからね」
「もうっ///からかわんといてっ!!」



あの頃は横を向けば駿也の顔があったんに、今はもう見上げなければ其の表情を窺い知る事すら出来へんよーになってて。



幼い頃からずっとプロのスポーツ選手に成るのが夢やったのに成れへんかった『女』としての自分が『男』の駿也に憧れと妬みを抱く一方で




「けど、俺は本気で五月をお姫様抱っこするつもりだよ。勿論結婚式場でね」
「〜〜〜ッ///」



背丈もあの頃と比べ物にならへん程高くなって

肩幅も広くなってて、喉仏も出てきたせいで声変わりもして



そんな、『男』らしく格好良く成長した駿也にあの頃よりちょっぴし『女』になってた僕は




「うー‥///それじゃうち、気軽に太れへんやんか」


なんて独り言を呟きながらも


満足そうに微笑む、彼氏の笑顔に自分でもビックリする程ドキドキしっぱなしやった。




あぁ、此の人の笑顔を独り占め出来るんはうちだけなんや―――


って。



けどな。



「いいよ、そんなの気にしなくて。五月は十分痩せてるし寧ろもうちょい太ったほーがイイんじゃない??例えば此処とか」
「けどうち‥一応モデルやし。其れに甘党やから気ぃ抜くと直ぐ太ってまうから…って、何処触っとんねんっ///」
「ん??何処って…お尻だけど??」
「あほー///しゅんやのえ/っち!!セクハラやんっ!!」
「いいジャン、減るもんでも無いし」
「そーゆー問題やなぁいっ///」



其の一方で酷く不安になる。



駿也が得点上げる度に試合観戦しとる女子も僕と同じ様に駿也に夢中になって黄色い声援張り上げるから。


駿也が有名になる度にファンレターやプレゼントの量が見るからに増えていくから。





そんな

無愛想な癖に笑うとめっちゃ爽やかで

子供みたいに無邪気で悪戯好きで


けど試合になると真剣で、最近特にプロが板についてきた駿也を取られたくなかったから。




やからね。




「…なぁ、駿也」
「んー??」
「うち以外に目移りしたらあかんよ??」
「なっ///」


やから『モデル』になったんよ??


少しでも駿也に釣り合う自分になりとーて。

少しでも駿也に相応しい女の子になりとーて。



せやけど、そんな僕の杞憂を吹っ飛ばすように




「…‥何今更当ったり前の事言ってんの??お前以外に目移りする訳無いジャン。こんなにも‥五月にベタ惚れなんだからさ///」



カァアアッと。

そらもーこっちが恥ずかしくなるくらい駿也が真っ赤っかになってもーたから。




「べっ‥ベタ惚…!!そない恥ずかしい事言わんといて///」

案の定、僕のほっぺまで真っ赤になってしもた。





けど、そんな真っ赤になった僕を優しく抱き締め



「五月、ごめん。飯は後にしよう」
「へ??」
「悪いけど我慢出来ない。今直ぐしたい」
「ちょ、駿也ッ///離し…」
「無理」


そのまま僕の手を強引に引き、部屋へと連れ込んでしまうのやった―――























「うー///」
「ねぇ、そんなに恥ずかしがられると何も出来ないんだけど??」
「そ、其れは…っ///駿也が電気消さへんのが悪いんやろっ!!」


連れ込まれた部屋は夜景がものすごーく綺麗で、見るからにムード溢れるロマンティックな部屋やった。



そないな部屋に泊まった事も無ければ、こんな風に性急に求められる事も稀やったので




「イイじゃん。こーして明るい方が五月の全部が見られるからね」

にっこりと、意地の悪い事を言い出す恋人を前に


僕は渋々降参するしか無かった―――




「い、いじわる…///」


何や、僕の全部って!!

そう突っ込んでやりたいのは山々やけど、此の生粋のどSにはきっと逆効果に違いない。



寧ろそんな事を言えばどSな恋人はわざと露骨な事を言って僕を困らせたり恥ずかしがらせたりして愉しそうに笑うのが関の山やったから。



「しゅ、しゅんやぁ///お願いやから電気消してぇ??」
「ッ///」


ちょっと悔しいけど


僕はおずおずと駿也のカッターシャツに手を伸ばし、其の襟首を軽く引いてやったんや。



そーすれば



「……しょうがないなぁ///」

やれやれ。なんて呟きながらも照れた様子で駿也が電気を消してくれたから。



結局は僕の要望を無償で聞いてくれる此の人が、何よりも誰よりも愛しいと心から思った―――







「っ、あ///しゅ、しゅんやっ!!だめ、ズルイッ」
「イイでしょ??スタンドライトくらい」
「うぅ〜っ///」


でもタダで済むハズも無く。

駿也が勝手にライトをつけてもーたので、何の前準備もしてなかった僕は色気もクソも無い下着を駿也の眼前に曝け出す羽目になってもーた。



「可愛いよ、五月」
「か…可愛くなんかあらへんもん///」
「アレ??今日俺に可愛いって言って貰えるの嬉しいとか言ってなかったっけ??」
「あ、そ…それはッ///」



白地に何の変哲も無い地味なフリル。

シンプル過ぎる其のデザインを僕自身は気に入っとったけど。




「…やって。今日の下着、あんま可愛いくないんやもん///」
「!!」
「しゅんややって…こない地味な下着やったら脱がしてもガッカリやろ??」


けど大好きな彼氏とえっ/ちするんやったら、下着やって相手の好きそうな可愛えぇの履いときたいって思うのが女心やろ??


やから電気付けて欲しくなかったのになぁ。

なんて思っとると…




「ま、確かにTバックとか履いてたら興奮はするだろうけどさ」
「だ、誰が履くかそないなモンっ///」
「そう怒るなって。モノの例えだろ??‥‥けど言わせてよ、五月」


クスッと色っぽく笑った駿也は妙にやらしー手付きで僕のブラジャーのホックを外し、こんな事を言い出したんや。






「お前が履いてる下着なら、何でも可愛いよ」


だってお前が可愛いんだからさ。

なんて、酷く嬉しそうな顔してゆうから。




「ッ///」

まだ何もされてへんのに、一気に全身の血液が逆流する様な錯覚を覚えた。




「しゅんっ…」
「好きだよ、五月」
「んむっ///」



そして重なる唇。

しっとりとして柔らかい其れは甘く優しく、僕の脳みそを蕩けさせるのに十分で。




「んん、んっ///」


キスされながらも窮屈なブラジャーから解放された素胸をやわやわと揉まれると、下腹部がきゅぅんと自然に疼く様な感覚が走った。




「は、んっ!!あ、ぁっ…しゅん、やぁっ///」
「可愛い。五月、もっと俺の名前呼んでよ」
「しゅんやっ!!すき、うちも駿也の事が好きなんっ///」
「俺だって―――」



そうして、既に硬くしこった胸の尖りを駿也の指先に玩ばれて。


クリクリと指の腹で転がされれば



「んあぁああっ///」

自分でも信じられない様な、普段とは違った酷く甘い声が勝手に漏れて。


更に背中に駿也の逞しい腕が回り、そのままベッドにゆっくりと押し倒されながら乳首をちゅうっと吸われれば




「ひゃぁああんっ!?や、しゅんやっ!!」


ゾクッとした、何とも言えない悪寒にも似た鋭い快感が全身を駆け抜けていった。




「…ハ。五月の胸、昔と比べて大きくなったよね」
「んあぁっ///そないな事…今言わへんでもえぇやろ??ふ、ぁ‥んんんっ///」
「でも言いたくもなるだろ。こんなに育ってさぁ。俺は嬉しいよ??五月のおっぱい、子供が生まれてもずっと独り占めしたいな」
「や、ぁ!!だめ!!おっぱい、舐めるのズルイッ///そないにしたら‥あぅううっ///」


トサリ。


背中にマットレスの感触が伝わる。

其れと同時に駿也が赤ちゃんみたいにしつこくおっぱいばかり苛めてくる。



ぴちゃぴちゃ‥ぺろぺろ、ちゅうちゅう




「ンくっ///は、ぁあぁああっ!!」


ざらざらした舌先が突起を舐める度に身体の熱が昂ぶった。


そんな、どんどん其の気になっていく僕をニヤニヤ見詰めた駿也が笑って



「そろそろこっちもイイ感じなんじゃない??」
「!!!!!」


何時の間にかズボンから取り出された昂ぶりを僕のあそこにグッと押し付けて来たから。




「やぁ!!待って///まだダメ!!じゅーぶん慣らしてから―――」


そないに経験豊富や無かった僕は、挿入の快感と痛みに恐れを成して自然と腰を引いてもーたんや。




けど、駿也は構わず其の凶器を僕の内部に突き立てて来たんや。


ずちゅうぅうっと。




「ひぃいいいいっ///」


其れは破瓜の痛み程では無いにしろ、思わず目尻に涙が浮ぶほどの快感と苦痛で。


じんじんとおまん×の奥が痺れる一方で、無理矢理掻(か)き分けられた内部は擦られた痛みでヒリヒリしとった。



其れでも



「…‥痛かった??」
「ッ///」
「ゴメン、でも‥五月が好き過ぎて俺止まんない。どうしよう‥」
「しゅんや‥‥///」


見た事も無いくらい余裕の無い、真剣な駿也の表情にドキッとさせられる。




「もぉ、ホンマ‥ズルイんやからぁ///」


こういう時にそないな顔するん、反則やで自分。



そう、心密かに恋人を詰りながらも僕は駿也の首にそっと腕を回し




「…えぇよ、動いても」
「え、でも‥‥‥」
「うちも駿也の事感じたい‥///やからめちゃめちゃにして??駿也の事しか考えられなくなる位―――」


なんてゆーてやったんや。


そうすれば



「五月‥…」



少し困ったような

でも嬉しそうな顔をして駿也が僕の名前を呼んだから。



僕は黙ってキスしてやったんや。


大好きな、大好きな駿也に。




「!!」
「ん///」



其れと同時に駿也の腰が大きく揺れた。



ずぷっ!!


「〜〜〜ッ///」


瞬間、内部を杭で打たれたような激しい圧迫感と痛みに似た快感に身体が勝手にビクッと震える。



けどそんな僕にお構い無しといった様に、駿也は激しく腰を振って僕の全身をガクガク揺する様に抱いてくれた。



ズンズンずちゅずちゅぬちゅぬちゅっ



「あ゛あぁあああっ///」



目の前が一瞬白くなった。

でも、お腹の中を駿也がぐちゃぐちゃに引っ掻き回してめちゃくちゃに犯してくるから



「あぁん!!い、いややぁっ///おまん×が壊れてまうぅうう!!」


其の予想以上の激しさに僕は呆気なく完敗してしまった。






「何言ってんの??まだ…これからデショ??」
「んひゃぁああっ///やぁ、許して!!しゅ、しゅんやぁぁあああ!!」
「五月が泣こうが喚こうが…カンケー、無いね。可愛すぎる五月が、悪い」
「んくっ!!あぁ、あぁああっ‥らめ、其処感じるうぅううっ!!」



ぬちゃくちゃと出し入れされる駿也の凶器。


其れが僕の内部を抉る度、ふと思った。




「あ、ぁああっ///しゅんや、もっとあいしてぇええっ!!」



此の人の赤ちゃん、産みたいなぁって。


でも如何にも子供嫌いそうな駿也の事やから反対されるか要らないって断られるかとも思ったんやけど




「‥さつ、きっ!!」
「あぁっ、ん。な、なんやぁ??」
「今日、ゴム付けないから」
「ッ?!」



そう言って駿也は僕の内部をズッズッズ、と追い立てる様に激しく擦り



「出す、よっ///」
「あぁっ///ま、待っ―――」



あろう事か、中出ししてもーたんや。




「ふぁあぁああっ///」
「くっ///」


ドクドクと、内部に精を吐き出された違和感が下腹部全体を支配していった。


ちょっと膣がヒリヒリするかも。



そないな事を思っとると‥




「‥五月」
「ふぇ??」
「暫くは新婚気分味わいたいけど‥。其の内落ち着いたら‥いっぱい子供、作ろうね」
「ッ///」



フフ。と何処か幸せそうな駿也の笑顔が目に飛び込んできたので。





「ん、そうやな///なんなら‥サッカーチーム作れるくらい作る??」
「いいね、其れ。って言いたい所だけど遠慮しとく。だってそしたら五月とこうしてゆっくり出来なくなりそうだしね」
「アハハ、そうかもしれんね!!」



出来る事なら


ずっと此の人と一緒に人生を歩み、幸せな家庭を持ちたいと



そう、心から思った―――





「五月、愛してるよ」
「うん、うちも駿也の事‥めっちゃ愛しとるよ」








そして、数ヵ月後に僕達は入籍し、記者会見を行う事となった。


モデルを止めて、駿也の奥さんになる為に。





そんな、古い夢を捨て新たに手に入れた輝かしい夢を叶えた僕は、きっと世界一幸せな女になれるに違いない。


なぁ??そうやろ、未来の旦那様―――






※男らしく成長したさがみんと女らしく成長した藤原なのでした。



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