テニプリSS

□ヒーロー参上。(謙光)
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「はあ…、ほんまかいな」

ホームで電車を待っていると
たくさんの人を乗せ、ぎゅうぎゅう詰めとなった電車がやってきた
財前は深い溜め息をつく
朝から満員電車に乗るのは苦痛すぎるからだ
まあ、朝だから通勤の人が沢山乗ってて仕方ないわけだ…
財前は諦めて、その電車に乗ることに決めた
満員電車の中は皆の熱気がこもっていてムスムスとしていた
やっぱ乗らん方が良かった、と思ったがもう遅く、電車はガタンゴトンとゆっくり揺れ次の駅へと出発していた

「… 早く着かへんかな」そう思っていた時だった。
何か違和感を感じた
まさか、とは思ったが…
それは流石にありえへんやろ?、そう自分に言い聞かせていたが
そのまさかが起きていた。

後ろに立っているサラリーマン風のオッサンだろうか?
財前の尻を撫で回していた
財前は顔をしかめながら、再び頭の中で考え直す
これは、あの痴漢というものなんやろうか?
このオッサン、男のケツ触って何が楽しいんやろう?
そう財前が考えている間にも、男の行為はエスカレートし、尻を揉んできていた


「早く逃げへんと」と思うが、ぎゅうぎゅうの満員電車の中だ
どこにも逃げれない

「助けを呼ぶか?」と考えたが、男に痴漢されたなんて言えるわけがない。屈辱すぎる


そしたら、もう…
次の駅まで我慢するしかない

こっちが必死に気持ちが悪いのを耐えているというのに…
男は手を止めることなく動かし、今度は前までも触ってきた


「……!?」

全身の毛がよだった…。
誰か気付いてくれへんかな?
そう、財前が辺りを見渡した時だった
見覚えのある金色の髪が、たまたま目に入ったのだ
しかもその金色の髪の奴は、どんどんと自分の方に近づいてきている…

まさか?




「財前やないか〜!同じ電車に乗ってたんやな♪」



予想的中だった。


「どーした?顔色悪いで?」



男は、謙也さんが来ると同時に痴漢行為を止め人混みに消えた




「財前?ほんま大丈夫か?」






助かった…。





「… 財前?」


「謙也さん…」

「ん?」




「ほんま、ナイスタイミング」


「…は? お、おう」





後で、何か謙也さんに
奢ってあげよう。

そう思った瞬間だった




end


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