テニプリSS
□雨宿り。 (宍日)
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最悪すぎる。
せっかくの休みの日だから、
駅の近くの古本屋に行って怪奇現象について調べようと思ったのに…
まさか夕方、雨が降るなんてちっとも考えてなかった
「雨、やまないな…」
古本屋の前で雨がやむのを待つが、ちっともやむ気配がない
家まで走って帰るしかないか…
そう日吉が考えた時だった
「あ、若ぢゃん?」
聞き覚えのある声が聞こえ
日吉はゆっくりと声がする方へ目を向ける
「あ、宍戸さん…」
宍戸は雨の中、1人傘をさしながら立っていた
「何してんだ?」
「…見ればわかるじゃないですか」
「古本屋でなんかの研究?」
「違いますよ、何で古本屋=研究になるんですか」
「ん、なんとなく」
「雨宿りしてるんですよ、降るとか天気予報でやってなかったら傘もってなくて…」
日吉がそう言うと、宍戸は「な〜ぁんだ〜」と笑みを浮かべた
「それならそうと早く言えよな」
「はい?」
「入れよ」
「は?」
「家まで送ってやるからさ」
と爽やかに言う宍戸を目にして日吉は目を点にした
「… 若?」
「え、…ぁ ええ!?」
「だから送ってやるから入れって?しばらくやまねーと思うぜ」
「いや… 俺は…」
つまりあれだよな?
相合い傘ってわけだよな?
そんな恥ずかしい行為
公共の場でできるわけねー!!
日吉が頭の中でそう悩み悩み頭を混乱させてた時だ
「んぢゃ…、よし!先輩命令だ!入ってけ」
と宍戸は言うと日吉の腕を引っ張り、無理やり傘の中に入れた
「は、ちょ…////」
「先輩命令だから、断んのは無しだからな」
向けられた笑顔に、
日吉は黙って目をそらした
そんな笑顔を向けられたら
断れるもんも、
断れなくなるじゃないか…
だから俺は、
アナタのその笑顔が
嫌いなんだ。
「………」
ふと宍戸の方に目を向けると
宍戸の肩が雨で濡れていた
「どーした?」
ニコッと向けられるこの笑顔に少し戸惑ってしまう
この笑顔にどう返せばいいのか
「…宍戸さん」
「ん?」
「宍戸さんの家って俺の家と反対方向なのに、すみません」
日吉がポツリ呟くと、
宍戸は日吉の頭をくしゃくしゃに撫で笑みを浮かべた
「気にすんな」
「気にしますよ」
「いいんだよ!!気にしなくて!俺が送りたいから送ってるだけなんだからよ」
「…ありがとうございます」
「おう♪」
宍戸はそう言うと、人に見られないように傘で隠しながら日吉に軽くキスをした
その瞬間、日吉の顔は一気に赤く染まる…
だが暗い夜道だったおかげで、赤くなった顔が宍戸に見られることはなかった
少し、雨に感謝だな。
と思いながら…
今度は2人の距離も縮まり、
仲良く手を繋ぎながら
帰宅した。
end