二次創作
□太陽が輝けなくなった日
1ページ/3ページ
大和が人を殺した。冬の寒い日だった。
その日は練習はなくて、家で本を読んでたら大和から電話がかかってきた。
普段は電話なんて滅多にしないから珍しいな、と思って電話に出ると無音で、これもまた珍しいことだと思った。
大和、と呼び掛けてみても返事はなくて、少し苛ついた。電波は良好、携帯電話の故障というわけでもなさそうだった。
5分経ってもお互い黙ったままだったから、今度は不安になった。何かあったのだろうか。
悩んだ挙げ句、大和の家に行ってみることにした。そう遠くない距離だし、イタズラなら直接会って怒りたかったからだった。
家についた。電気は点いていない。かじかんだ指でインターホンを鳴らす。案の定誰も出ない。彼は一人で暮らしているのだから、いるはずのない親なんかが出てこられても困るけど、誰も出ないのはもっと困った。
仕方なく、以前渡された合鍵を使った。恋人じゃあるまいし、と思って使ったことはなかった。受け取っていてよかったと思う。
玄関に入るとすぐ異変に気付いた。すごく、生臭い。濃厚な血のにおいが、室内のあたたかい空気と共に充満していた。大きな怪我をしたのだろうか。それとも……?とにかく奥へ進んでみることにした。
.