Wake by Sleep

□烈風を追え
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「ありがとう、アスカ」

姉妹が地上に降り立つと共に光の精霊は姿を消した。
ブリッランテは礼を交えながら手を振った。

「さ、シンクを探さないとだね」

「…その件に関して、一つ提案がある」

「どうかしたの?」

妙に難しい顔をする姉に疑問を覚える。

「……学園に行くのはどうだ?」

「…が…、くえん、ね。うん」

「……?」

今度は随分とカタコトな妹に対し姉が疑問を覚えたという。

「二年前にリュウセイと別れてからずっと行ってないからさ…、気まずいというか」

そもそも担任のリフィルが無断欠席を許すはずがない。
加えて周囲の反応も気になるところだ。

「それなら俺と行こう。みんなはお前が思っているほど、卑しい集団じゃない」

「そうだよね…。うん、行ってみるよ」

どんな顔で彼らは出迎えてくれるのか。
そんなことは重要じゃない。
自分たちがどう彼らと接するか、ということなのだろう。

せめて彼らの前では素直でいたい。

「ひとまず家に帰ろう」

その言葉にブリッランテが頷き、二人は並んで歩く。





「まあ待てって」

としたのたが、男にそれを阻まれる。
二人が後ろを振り向くと−

「「ゼロス!?」」

紅の髪を持つ神子の姿がそこにあった。
彼は相変わらずおどけた様子であり、会いたかったぜ!と大袈裟に泣いている。

「んで連絡しておくけど、ゲーデに二人の家がバレたらしいぜ」

微笑みを絶やさぬままで彼はさらりと重要なことを言い捨てた。

「誰の情報だ」

「セルシウス様から間接的にもらった情報だぜぇ?これは間違いないでしょーよ」

聞き逃さなかったリュウセイが詳しく訪ねるとゼロスはこう答えた。

「間接的にということは第三者がセルシウスと面会しているということか?」

「ところがどっこい、聞いた話じゃ介添人同士、魔術の応用で連絡出来るらしいぜ。だからセルシウス様と直接面会しなくても会話は可能なんだってよ」

「なるほど」

つまりクラトスでさえセルシウスとは会っていないということになる。
敵が手ごわいのか、或いは…。

「話を戻すけど、もしかしてアルヴィンが踏みつけてた手がゲーデだったんじゃないのかな?」

「ふ、踏みつけた!?あいつ、どんな根性してやがるんだよ!」

…やめよう。
或いは、なんて考えるのは。
自分は介添人を二人とも信用している。
それでいいんだ。
何を疑う必要がある?

「どうしたんだよ、リュウセイ?」

気づくと先ほどまでおどけていたはずのゼロスが真顔な眼差しでこちらを見つめていた。

「何でもない。…とにかく野宿は決定だからな、ブリッランテ」

「うわぁ…、ゲーデのバカぁ!!」

妹の声には怒りが含まれていたが、ゼロスは声高く笑っていたという。
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