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御礼小説(ぷよチュ→スマブラ→母3→HGSS)
確かに恋だった様よりお題を消化しています。
最初はぷよチュより、あやアミ(魔物×女神)です。
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彼は魔物と呼ぶには、あまりに身も心も美しい少年で。
赤い衣服を身に纏い、赤い家具を部屋に置き、赤い瞳をしていて。
読書をするときは、ほぼ毎回紅茶を煎れていた。
飲み物まで赤いだなんて……赤好きもここまで来ると一途さを感じるなと、私は微笑ましく思っていた。
「私は紅の魔物ですから……赤が身近にあるのは、ごく当たり前のことなんです」
どうやら私の考えは見透かされていたらしい。彼は非常に洞察力が高い。
その数多の本から、どれだけの知識を吸収していったのだろうか……また、その間どれだけの時間を孤独に過ごしていたのかと想像すると、目の前の彼を全身全霊をかけて守り、包み込みたいという衝動に駆られる。
読書をしている彼の邪魔になっちゃうかな…なんて思ったけど、少しくらい良いだろうと、私はそっと彼の肩に寄り添った。
こちらをちらと見た彼は、気恥ずかしそうに頬を赤く染める。私は何も言わずに、可愛らしい彼の様子を横目で眺めていた。
服越しでも、触れ合う箇所が徐々に熱を帯びていく。それが体温のせいだけではないと、お互いよくわかっていた。
さすがに彼の本のページをめくるペースが明らかに遅くなっていることに気付いたときは、思わず笑いそうになってしまったが。
「………あ、アミティエル様。ケーキでも食べましょうか」
ついに顔も身体も真っ赤になった彼は立ち上がり、すたすたと厨房へ向かおうとした。
その背中があまりにも可愛らしくて、私はついつい意地悪を言ってしまった。
「あら、さっき食べたティラミスはとってもおいしかったわよ」
「――お、おかわりもありますが…?」
彼が数秒で考えた言い訳に、私は吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だった。
「もちろんいただくわ。ぜひ」
甘いものは大好きだから、きっと私は満面の笑顔を浮かべて返事をしたのだろう。
いくら食べても容姿が変わることはない――自分が女神でよかったなと思いながら、彼が厨房で頬や身体の火照りを覚ますのを待っていた。
「――お待たせしました、アミティエル」
数十分後、彼はお盆にゼリーケーキのお皿を乗せて帰ってきた。
「本日二度目のケーキですが、あの、正直お腹の方は……」
「まあ!おいしそう!全く問題ないわ。一緒に食べましょう」
「いや、さすがに私はもう満腹です……アミティ一人で食べてください」
「あら…そう?」
そういえばスプーンが一つしか用意されていない。
彼が照れのあまり部屋を逃げ出した口実であるとはいえ、私のためだけにわざわざ厨房までと考えると、ちょっと悪いことをしたなあと思った。
「じゃあ遠慮なく……あら?」
彼はニヤと笑うと、当然のようにスプーンをとりゼリーケーキを口に含んだ。
「ちょっと、貴方も食べるんだったら……」
「口を開けてください」
「え…っ」
その瞬間、甘い甘い味が、私の中に広がった。
なんてことはない――彼がケーキを私に口移ししたのだ。
「おいしいですか、アミティ?」
口を離した彼は余裕の笑みを浮かべていた。
ああ、彼は反撃の隙を窺っていたのか。だから普段あまり食べないけれど、形の崩れにくいゼリーケーキを持ってきたのか……。してやられた。
いくら可愛らしいところがあっても、彼は一人の男なのだ。
「………おいしいわ。とっても」
どんなケーキよりもずっと、ずっと。
やや俯き加減に答えた。
≪今度は、私が赤くなる番だった≫
〜fin〜
お題:今度は、私が赤くなる番だった
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次はスマブラよりデデカビ(擬人化)です。