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□●それぞれの旅立ち〜影咲リュウ編〜
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ー旧市街地ー
ミッションを終えた影咲リュウは煙草をふかしながら呟いた。
「あんたの歳に並んじまった。やっぱ煙草はやめれそうにねぇわ」
三年前ー
極東支部からの依頼を受け、フェンリル第六偵察隊は旧市街地に向かっていた。
「なぁリュウ。今回は極東支部からどんなアラガミの偵察を頼まれたんだ?」
そう問いかけてきたのは、同じ偵察隊の仲間であるルークだ。
「…猿みたいなやつだと」とぶっきらぼうにリュウは答えた。
ルーク「ってことはコンゴウか。あいつらは耳が良いし、チーム組んで襲ってくるらしいから気ぃつけねえとな!」
リュウ「あんたの声がうるせえ」
ルーク「おっと、わりぃわりぃ」
そういって煙草を加えながらルークは微笑んだ。
リュウが呆れていると、ピピピピっと車に搭載されている通信機が鳴った。
「おっと、すまん。リュウ出てくれ」
「何でだよ。」
「俺は運転中だし、多分極東支部のお偉いさんからだろう。俺苦手なんだよ。後で煙草やるからよ」
「チッ、わかった」
リュウは心底めんどくさかったが、煙草をちょうど切らしていたのでやむ無しに引き受けた。
「はい、こちら第六偵察隊の影咲リュウ」
応答すると通信機の向こうからは愉快そうな声が聞こえてきた。
「やぁやぁ、こちら榊だが今はどの辺だい?」
声の主は極東支部の技術開発責任者である榊であった。
「こちらは後数分で目的地の旧市街地に到着予定です。」
「そうかい。ちょっと目的地周辺のアラガミ反応の中に特殊な反応があってね。 一応忠告しとこうと思って」
「わざわざありがとうございます。こちらには戦闘員はいないんで、見かけたら即座に逃げて報告させてもらいますよ。」
「そうだね。よろしく頼むよ。気を付けてね♪」
数回のやり取り後、通信は切れた。
ルーク「なんだって?」
リュウ「なんか特殊な反応があるから気を付けろと」
ルーク「成る程な。まあ俺ら偵察隊はアラガミを見て、報告するだけだからな。 わざわざありがとよ。ほらっ約束の代物だ」
そういって煙草を箱ごと投げてきた。
それを片手でキャッチし、中から煙草を取りだし火をつけた。