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□●それぞれの旅立ち〜加原響鬼編〜
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10年前ー
とある居住区に、一人の少年と二人の少女が遊んでいた。
少女A「ねぇ、響鬼くん。今度は砂遊びしよ♪」
響鬼「うん!!良いよ♪」
少女B「アタシも一緒でいい?」
響鬼「もちろん!」
三人は知り合ったばかりではあったが、皆それぞれ両親を亡くしており、お互い遊び相手に飢えていたのですぐに仲良くなったのだ。
しかし夕暮れ時、惨劇は起きた。
アラガミの襲撃だ。居住区に限った話ではない。今、この世界はアラガミという怪物が常に闊歩している。
そのアラガミは、三人をめがけて走ってきた。アラガミに気付き、逃げようとしたときには遅かった。
そのアラガミは少女二人を少年の目の前で貪ったのだ。
さっきまで一緒に遊んでいた少女達が、形を失っていく。
少年は訳がわからなかった。しかし、体が頭より先に動いていた。
響鬼「うわぁぁぁぁっ!!」
叫びながら、そばにあったバケツをつかんでアラガミに突進していった。
しかし、アラガミには当然効くわけもなく少年は吹っ飛ばされてしまった。
あぁ、これで自分も少女達のように形を失っていくんだ。
そんなことを考えていた。
その時、目の前でアラガミが真っ二つに引き裂かれたのだ。
「ーッ?!」
「ふぅ…なんとか間に合った。姉上!子供は無事だぜ」
「分かった!私は支部に連絡する。お前はその子の保護を頼む!」
「了ー解♪ ボウズ大丈夫か?すまんな、その子達救えなくて…」
訳が分からず呆けていた響鬼だったが、ようやく状況を理解し
そして、泣き崩れた。