FAIRY TAIL

□act.17
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『邪魔ばかりしやがって、殺すぞ。』


「出来るものなら。」







そう言って対峙するのはミラとネア。







「…本当に忘れちゃったの?」






悲痛な顔をしばがらミラはネアを見据えた。
少しながらにネアはそのミラの表情に反応した。







「みんなで笑いあったことも、

 みんなで支え合ったことも、

 みんなで喜び合ったことも、

 みんなで悲しんだことも。

―…全部忘れてしまったの…?」





ミラの頭に浮かぶのは自分に手を伸ばす妹の姿。







「ねえネア…。」


『…。』






何なんだ、この胸の痛みは。


この女が一言二言と話すたびに膨らんでいくこの痛み。


心臓を鷲掴みされたような、キリキリとした痛み。


この感情は一体何だ、この痛みはこの胸の苦しみは…







「ネア戻ってきて。お願いだから…!」


『…!』







ミラの目から一粒の涙がゆっくりと落ちていく、
全てがスローモーションに見えて、地面に落ちて広がった。






『っあ…。』


「?」






全ては走馬灯のようにネアの脳内を駆け巡っていく。
確かに在った大切な時間が、体に刻まれた時が甦り始める。
ネアは頭を抑え、冷や汗を流し始めた。






『やめろ…!』


「ネア?」


『(ネアが目覚め始めてる…このままじゃ。)』







ネアは壁に体重をかけながら進んでいく。






「ネア一体どこに!!」


『どこでもいいだろ…お前達といると、痛い。』


「待って!!」


『ほっとけ。』






物凄い突風が吹いたかと思うともう目の前にネアの姿は無かった。
少し離れた道の途中でネアは座り込んでいた。






『どうしてまた、傷つく方を選ぶ。』


『このまま眠っていれば、幸せなのに。』


『君の闇から僕は生まれた。』


『心が傷つくのを恐れて出来たのにどうして君が―』







傷ついているんだろうか。

僕の願いは只一つ、どうか、どうか泣かないで…


突然近くで轟音が響きわたり近くにあった壁の穴から外を見れば、
一つの建物が崩れさっていくところだった。




ドクンッ




あぁ、胸の鼓動がうるさい。
耳に聞こえそうなほど波打つ心臓。






『…やっぱり痛い。』






そうか、痛いのは私の心か。
ふと横を見ればボロボロの体で立ち上がる男の姿。
ボロボロなのに男は立ち向かっていく、そんな姿が痛々しくて。
気が付けば彼の腕を掴んでいた。












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