FAIRY TAIL

□act.12
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儀式を止めたはいいものの、デリオラは既に復活してしまっていた。
緊急事態に誰もが焦りを感じられずにはいられない、一人を除いては―







「どっどうするの!?あいつ復活しちゃったのよ!?」


「これは緊急事態だ!今すぐデリオラの元に―。」


『待った。』






何の細工もしていないのに、その凛とした声は響きわたった。
それは焦っていた2人にもすんなりと耳に入っていった。







『2人共慌てすぎだよ。』


「でもグレイの話聞いてたでしょ!?あれは災厄の悪魔なのよ!?」


「今すぐ倒しに行かねば!!」


『大丈夫だよ。』


「どこからそんな考えが…!」


『だって、グレイとナツがいるじゃん。』


「―…え?」








ネアの顔は落ち着ききっていてその表情には安堵が浮かぶ。
そんな表情を見た2人は焦りが抜け、落ち着きを取り戻していた。






『あの二人がいるなら大丈夫でしょ。だって、最強チーム…なんでしょ?』


「…そうだな。暫し焦りすぎたようだ。」


『グレイももう、小さい頃のグレイじゃないでしょ?』


「そうよね!最強チームの2人だものね!」


『信じて探しに行こう。』






3人は勝利を信じて2人を思い歩き始めた。
ナツを見つけた瞬間ハッピーはナツに飛びつき、ナツはエルザに驚き。
遅れてきたネアを見つけると飛びついた。







『っわぁ!』


「ネアーっ!!」






ネアは飛びついてきたナツの体重を支えきれずに
押し倒されるという形で倒れてしまった。






『ちょ…ナツ。苦しい!』


「ネアも来てたのか!!」


『う…うん、だがら…離して…!』


「ナツ…ネアから離れろ。」


「あい!!」





エルザの助け船のおかげで窒息死はまぬがれたようだった。
そして浮かれきっている3人にエルザが睨みを効かせる。






「そうだ!!!お仕置きが待ってたんだ!!!」


「その前にやることがあるだろう。」


『悪魔にされた村人を救うのが今回の仕事の本当の目的だったんでしょ?あー…痛い。』


「え!!?」


「S級クエストはまだ終わっていない。」






そうエルザは言い切った。





「だ…だってデリオラは死んじゃったし…村の呪いだってこれで…。」


「いや…あの呪いとかいう現象はデリオラの影響ではない。」


『月の雫の膨大な魔力が人々に外を及ぼしてるんだよ。
デリオラが崩壊したからといって事態が改善した訳じゃないんだよ。』


「そんなぁ〜。」


「んじゃーとっとと治してやっかーっ!!」


「あいさー!!!」


「どうやってだよ。」




意気込むナツにグレイが冷静にツッコミを入れる。




「あ。」


「オレは知らんぞ。」


「何だとォ!!」「とォ!?」


「だってあんた達が知らなかったら、他にどうやって呪いを。」





知らないというリオンにルーシィは詰めかける。
そしてリオンは3年間についた語りだした。





「3年間。俺たちも同じ光を浴びていたんだぞ。」


『何か体に異変とかは本当にないんだね?』


「無いな。…気をつけな、奴らは何かを隠してる。ま…ここからはギルドの仕事だろ。」


「そうはいかねぇ…お前らは村をぶっこ―。」





その続きを言おうとしたナツの口をつまんで止める。




「奴にも奴なりの正義があった。過去を難じる必要はもうない。」


『行こっか。』






踵をかえして歩き出す。





「何見てやがる。」


「お前もどっかのギルドに入れよ。仲間がいてライバルがいて、
きっと新しい目標が見つかる。」


「く…くだらん…さっさと行け。」





グレイもまた、歩き始めた。



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