BOOK
□最悪な1日
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2012年2月23日
金曜日の仕事終わり
本来なら、仕事からの解放感で、1週間の内で1番安らぐ時間帯。
そんな時に
母の再婚相手として
高校の時の先生と再会。
笑えない。
全然、笑えない。
先程から、先生とは終始無言で向き合っている。
手持ち無沙汰な先生は、コーヒーを何度も口に運ぶ。
カップを傾けると、空になっている事に気付いて、慌てて戻す。
もう何度となく同じ事を繰り返している。
私は、目の前に置かれた紅茶をただひたすら見ながら、先生の腕の動きだけを、視界に入れていた。
他にどこを見ていいのか、分からない。
何を考えればいいのか、分からない。
「深雪さん、…遅いな」
先生がぽつりと独り言の様に呟いた。
母の名前を先生が呼んでいる。
その事実が、「これは現実だ」と突き付けてくる。