宵闇の姫君

□3・転校
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3-Bの教室

朝のSHR時、転校生の紹介に生徒達は騒いでいる




「…大路学園から来ました三隅佑樹です

どのくらいの期間ここに居られるかはわかりませんが、よろしくお願いします」



佑樹の表情に変化はない

相変わらずの無表情だ


全体を見渡せば目に入る赤と銀
そして、自分たちのターゲット



「(・・・アレが秋月穂高。隣の銀髪が仁王雅治で、前の赤髪が丸井ブン太か・・・・


・・・それにしても、姫様が死にかけたというのによく笑っていられるなこいつら)」


着実に怒りが溜まっていくが表には出さない


一方全ての元凶である穂高は


「(佑樹くんかっこいい!!私の王子様決定ね、絶対落としてやるわ・・・)」


なんてことを考えていた



「三隅君の席は秋月さんの後ろね」



「(ラッキー♪)こっちだよぉ〜」


いちいち返事をするのも面倒で、軽くお辞儀をしてからすぐに席に着いた



「私秋月穂高っていうの、よろしくねぇ

佑樹くんって呼んでいぃ?」



「好きにすればいいと思う

……呼び方とか興味ないし」


どのように呼ばれようが怒りが収まる訳じゃない

その声を聞くだけで、姿を見るだけで、

ボロボロになった主を思い出してやるせない気持ちになる




一度も自分を見ない佑樹に穂高は顔をひきつらせた


「ぉ、大路学園ってぇ、氷帝と同じくらいのお金持ち学校だよねぇ?」



「あぁ、そうなんじゃない?…よくわからないけど」


適当な返事をしながら、目線を手元の携帯へとおとす

幸村からのメールだった



《何組だった?》


《B組。精市は何処のクラス?》



《俺はC組だよ。

…あいつと一緒のクラスか……、頑張ってね》



《秋月の後ろの席になった

都合はいいが化粧の臭いがキツい》



《それは仕方ないよ

仁王と丸井には気をつけて》



《了解》




「佑樹くん、聞いてる?」



「え、何?メール見てて聞いてなかった(一応聞こえてはいたけど)」


話しかけられて驚いたフリ
ぱちぱちと瞬きをしながら穂高を見る



「穂高〜、そんな奴と話しとらんで俺らと話すナリ」


ぎゅう、と横から抱きついたのは仁王



「(ぺてん師・仁王雅治。……詐欺師が騙されてどうする)」



「仁王の言う通りだぜぃ穂高」


「(丸井ブン太…。天才とバカは紙一重、か)」




「もぉ〜…雅治もブン太も佑樹くんに失礼だよぉ

それに私はぁ佑樹くんとも仲良くしたいなぁ…」


「まぁ穂高がそう言うなら…」



「(こいつらは馬鹿なんだろうか)」



そんなことを考えながら穂高からの視線を華麗に受け流していた




 
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