□未定
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特になんの理由も無い。
ただ、誰も私を構ってくれなかったのだ。
本当にただそれだけの理由だ。

断じて、彼に会いたかったわけでは無い。






ーーーーー

『・・・・・』
「あ、デマンド!えへっ・・・来ちゃった☆」

こないだ教えてもらった彼の住所。
せっかく教えてもらったのに、一回も行かないのは失礼な気がして、
お菓子をたくさん買って行ってみました。

彼の家の番号を押してこうして挨拶しているのに、まったく応答が無い。

もしかして番号間違えたかな?


一向に状況が進まないので、携帯にかけてみようとした時だった。

「・・・どうした?」
「うわぁ!?」
急に大きな声で、しかも呼ばれなれない名前だったので驚いてしまった。

突然背後に現れたのは、物凄い普段着だが間違い無くデマンドだ。

男性にしては少し眺めの髪を後ろでくくり、真っ白なシャツにデニムのパンツ。
プリンスな格好と無限学園の制服しか見たこと無いので新鮮だった。

「びっくりしたー・・・、こんな場所でテレポートするとお隣さんとかに噂されるわよ」

「お前こそ私を驚かすな。・・・どうしたんだ?」
「ん?遊びに来た」
「・・・」
なぜか私の言動に呆気にとられている。
なんか変なこといったかな?

その時、自動ドアが開いてサフィールが出てきた。

「兄さん!こんなところでテレポートすると怪しまれますよ!」
「あ、サフィール。ほら、お菓子買ってきた」
「あ、これはご丁寧にどうも。って違う!何の用だセーラームーン!」
深々とお辞儀をしてビニール袋をもらおうとしたが、我に返ったようだ。

まるで敵に遭遇したかのように私を睨む。

「ちょっとちょっと、そんなに警戒しないでよ。私はただ」
「私とデートしに来たそうだ」
「そうそう、デートを・・・って、するか!!」

私の言葉を綺麗にスルーして真顔で抱きつかれる。

「わー///!さっそくセクハラ!?」

『シュン!』
とデマンドと共にテレポートさせられてしまったようで、一瞬にして視界が変わった。


「いらっしゃいセレニティ」
「お・・お邪魔してました・・・」
どうやら彼らの部屋の玄関のようだ。

流石高級マンション。
明るく開放感のある玄関だった。

「うっわ〜・・・あなた達高校生の兄弟のくせにこんな所に住んでるの?」

『ガチャ』

「当たり前だろう。私達はネメシスの長を務める家系だぞ」
律儀にテレポートを使わずに移動してきたサフィールが入ってきた。

「早く上がれセレニティ」
「あ、うん。お邪魔しまーす」
「兄さん、そんな簡単に上げていいんですか!?」

無表情だが、どことなく嬉しそうなデマンドと、不機嫌なサフィールの後に続いてリビングに入った。


ーーーーーーーー



やはり高級マンション、リビングも凄かった。

なによりテレポートしてしまったので分からなかったが、どうやらこの部屋は最上階らしく、
窓からの眺めも最高だった。

「すごいすごいっ、景色最高だよっ」
『きゃっきゃ』とはしゃぐうさぎに、デンマンドはそっと背後から近づいて抱きしめた。

「きゃっ・・////」
「そんなに喜んでくれるとは・・お前の家の近くにした甲斐があったな」

「ぇ・・そうなの?」
「ああ。近くに住めば必ずお前は自ら私の元へ来ると思った」
「ゃっ///耳くすぐったいよ・・・」
「そうか、耳が弱いのだな」
「んっ・・///もぅやぁ・・・!はなして・・///」

「兄さん、そろそろ例の番組が始まる時間ですよ」
「何!?」
「わっ!?」

サフィールの言葉に機敏に反応したデマンドはうさぎを離してテレビの前の大きなソファに陣取った。

たぶん彼の定位置なのだろう。

(・・助かった)
内心ほっとしたうさぎだった。

サフィールがじとっとうさぎを睨み付けてきた。
「・・・なによ」
「兄さんを誑かすな、セーラームーン」
「誑かしてないでしょ!勝手に誑いてるんじゃない!!」


二人がわーわー言い合っていると、
「静粛に!テレビが聞こえん!!」
「「・・・すいません」」
急にプリンス顔で怒られると、理由がアレでも誤ってしまう二人だった。
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