紅一葉
□零れ堕ちるもの
1ページ/3ページ
◇◆◇
―異形ノ者―
―子ノ子ハ神ノ子ダ…―
―神ノ加護ヲ授カリシ娘―
―化ケ物!!―
『やめて、
やめて…私は私は違う!!』
耳を塞いでも、
まるで直接頭に響くような、いくつも人の声がズキズキと脳内を刺激する。
耳鳴りも頭痛も去ることはなく、気が狂いそうになる。
『嫌、嫌嫌…私は…』
光にどんなに手を伸ばしても掴めなくて、身体はどんどん闇の中に堕ちてゆく…。
身体の中の血がグルグルと駆け巡っているのを感じる。
身体全身で何か莫大な力を抑えているけど、もうすぐにでもその抑えが外れそうなぐらいに脆い…。
『ぅ…ぁあっ!!』
身体全身が軋む激痛が走る。
…外したら楽になるのかもしれない。
でもそれと同時になんでこんなに自分が自分でいられなくなってしまうように感じるの?
激痛が走るたびに何処か懐かしい感覚が身体に馴染む。
それと共に、
一歩また一歩と私自身の意識が遠退く―。
最後に全身を蝕む激痛で朦朧とする意識の中で見たのは、誰かの顔
その人は私を見つめて切なくなるほど哀しい微笑みを浮かべた
◇◆◇