紅一葉
□その手を護るためならば
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すでに日の暮れたいつもの帰り道を秋夜は泣き疲れた少女を背負いゆっくりとした足取りで歩く。
そして
彼の後ろには少女の様子を心配そうに伺う綾乃の姿があった。
綾乃は秋夜の後ろにいるが、
気配で綾乃が本気で少女を気遣う気持ちや心が汲み取れた。
ここまで感情が激しく見れる綾乃は本当に稀なことだ。
いつでもどんな時でも冷静にいるのが綾乃だと思っていたが、
彼女も妹のように昔から一緒にいた結菜のこととなると違った。
知らず知らずに秋夜は唇を噛み締め鉄の味が口内に広がった。
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