プチ連載
□不死身と不思議
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あの日死んでいたはずだった
幸い、死ねない体のせいで生きてるだけ。
でも餓死ならいけるらしい。
「おいおいこのままじゃマジで死ぬじゃねーかよ……」
もう何日か、口にしていない。どうして生きていられるかは、幸い死ねない体だからだ。
あの日、今にも餓死寸前なくらいに空腹を来していた。
あー……こんなことなら最後に贅沢すりゃよかった。
あの角都、飯までケチんだよな
「腹、減った……」
最後に食っときゃよかった
いくら死ねない体でもこれは死ぬだろ。
「だ、誰か居るんですか…!」
死ぬと覚悟したそのとき、あいつと出会った。
「この穴に居るんですね…待っててください!今なにか持ってきますから…!」
もう死ぬと覚悟したのにまだ死ねないんだって思い知らされた
それはあいつと出会ったあの日のこと。
どれくらいって言ったら数字にも出来ないくらい、確率なんてなかった。本当に偶然。
こいつが偶然道に迷って、俺を見つけた。偶然こいつが俺を怖がらなかった。
それだけのこと。
まぁそれなりに恩返しでもしてさっさと帰りゃいいか。
って考えてた。で、帰るところまで今きてる。
「なー角都、帰る気出ねぇんだけど何でだろな」
……………………。
ああ、だからだ。
「…………角都、居ねぇ事忘れてたぜ。ま、どーでもいいけどよ」
角都が居ない事については本当にどうでもよかった。
どうせ帰ったところで自分は「死んでいる」で片付けられているだろう。帰ったところで、代わりになる人間が用意されているだろう。
誰も帰りを待ってはいない。
ああ、だからだ。だから帰る気出ないんだ。