プチ連載
□やっぱり必要だ
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静まる時間、本来ならこれが当たり前な時間だ。
一人分の食事、本来ならこれが正しいものだ
けれど何もかもが間違っているようにも思えた。あの人が居なくなって、あの人が居た時間こそ嘘のようにも思える。
それくらいに時は流れていた。
「また穴に落ちてないかな…あの人」
それでもあの人と過ごした時間は嘘じゃなく、出会ったあの日の穴を思い出す事もあった。
けれどもあの人がひょっこりと現れる事はやっぱり無かった。
「まさか…いや、大丈夫だよねきっと」
まさか死んではいないか。なんて考えざるおえないくらいに、あの人の姿を見ない日々が流れる。
とはいえ、不死身な事を忘れた訳じゃない。とはいえ、一度は死にかけていた人間だという事も忘れてはいない。
あの人が居ない日々が流れるたびに、矛盾した考えは募ってゆくのだった。