プチ連載

□大切な何かは失ってから気付く
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「ゲホッ、ゴホッ、」

「だ、大丈夫ですか…!今手当てしますから!」

一命は取り留めた。けれど、重症だ。
あの大きな鎌が体に突き刺さったのだから無理もない。いつかのあの人みたいに、生きている方が不思議だ。


「ごめんなさい…本当にごめんなさい。どこの誰かは存じませんが」

あくまで他人のそいつに、あいつはただひたすら謝り続けた。

やっぱりこいつは困ったお人よしだ。
死んだ方が楽になるのに、死んだ方がマシなのに、助けるなんて。困ったお人よしだ。


「ごめんなさい…」


そいつがそういう人間だって知っていたはずなのに、忘れてたなんて。自分も困った人間だ。
信じていたのはジャシン様だけだったはずなのに、今居る自分というものは何を信じているのだろう。


ごめんなさい、そう謝りながら手当するあいつをただ見ているだけの自分がそう思わざるにはいられなくなった。

生きるモットーは殺戮なんて言葉が嘘みたいな自分が、そこには居たのだから。



 
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