プチ連載
□無いはずの居場所
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「クソリーダーの説教が先か角都の奴に怒鳴られんのが先か…どっちだろーなァ」
どっちも考えたくないばかりに足は、ピタリと止まる。
「つーか角都のやつ、死んでたりしてな!」
なんて言える立場じゃない、と分かっているからこそ笑えた。あいつが助けなきゃ自分もそうなっていたのだ、と。
「……あー、そうだってなら笑ってやったのによォ」
そんなあいつが言っているような気がした。
「不死身のくせに今にも死にそうだったあなたが言う言葉じゃないでしょ!」と。
もうあいつの姿だって見えないというのに、脳裏に過ぎるあいつの顔が笑いさえピタリと止めた気がした。
困った人だなんて顔をするあいつ。けれど、本当に困った人こそあいつなのかもしれない。
「何で助けたんだよあいつ…死んだ方がマシじゃねーか」
女に困らされるなんて、死んだ方がマシだ。
そんな事も思わせたあいつと出会った穴の前で気付けば、足はピタリと止まっていた。