プチ連載
□生かしてくれた恩じゃなく、生きた恩
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「ライナは何すりゃ喜んでくれっかな?」
それを本人に問うとは、斬新的だ。
「なァー聞いてんのかよ」
それでもお構いなしに問い続けるのは斬新的で衝撃的な出会いを遂げた、あの人。
勝手に決めたと言っていたのはどうやら、恩返しをする事に対してであり...
その内容までは勝手に決められないらしい。
「………どんなに小さな事でも心をこめてしてくれるものなら嬉しいですよ」
素直に答えてはみたけれどこの人は、納得さえもしていないらしい
「もっと具体的に言えねーの?それじゃ恩返しになんねーだろうがよォ」
「言ってるじゃないですか。どんな小さな事でもって」
幸せを感じる定義とは、人それぞれ違うものだ
言わば価値観。それを否定されても、困る話だ。
「だから言ってんだろ、具体的にって」
しかしお構いなしに否定を続けるこの人。
「だから言ったじゃないですか…!もう、恩返しなんて良いです」
「それじゃ気が済まねーんだって。帰るならスッキリした気分で帰りてーんだよ」
いつからかこの人に困るライナが居た。
とは、言うまでもない。
「帰ったらぜってー説教喰らうだろうからよォ、それまでは気分上げていきてーんだって」
そんな気分の上げ方なんて、知るか。
ライナはそいつの価値観というものを否定したい心境に陥った。
けれども、心奥の中でとどめる事にしたのだった。