プチ連載

□勝手な恩返し
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「いやほんと助かったぜ。ありがとよォ!」


本当によく助かったものだ。

ライナは、ありがとうと笑顔で言うそいつとは裏腹に苦笑を浮かべた。


「い、いえいえ……私は何も。たいした事はして」

「してるじゃねーか。普通、あんな人間見たら怖がって逃げちまうとこだぜ?」

「…そ、そうですよね。」


そいつとの始まりというものは悲劇的であり、衝撃的であり、残酷なものであった。


「お前さ、変わり者ってよく言われねーか?」

「………い、いえ。方向音痴とはよく言われますが」


その日も相変わらず方向音痴であったライナ。
見事、道に迷っていた有様の中でこいつとの出会いを遂げた。

「あなたこそ不死身とか言われませんか」

「あーよく言われるぜ。ま、不死身なんだけどなァ!」


不死身と言い張るこの人、だがあの日。
ライナが見たのは今にも死にそうであるこの人の姿だった


「というよりも大食い、の方がよく言われません?」

「そりゃ初めてだわ。こんなにがっつり食うのは久々だからなァー」



足元から、声がした。
今にも消え入りそうなほど、か細いもので一度は耳を疑う。

けれど、もう一度。


確かに聞こえたのは
「腹減った」と言う、この人の声だった。


それがこの人とのはじまり




「助けてもらったうえに飯までわりィな、ほんと」


今にも餓死してしまいそうなほど弱り切った体で、その上生きている方が不思議なくらいにバラバラになっていた体で...
そして何故だか落とし穴に落ちていたこの人との、衝撃的な出会い。



 
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