プチ連載
□お帰りなさい
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心のどこかで「違う」と言って欲しかったのかもしれない。
「そう言って追い出す気かよ」
「え…違うんですか?」
もしも違わなければ、用心棒ならぬ居候のこの人は出て行ってくれた。今こうして食卓に並ぶ食事だって、こんなにも作らずに済んだ。
違わない。そう言えば、なにもかもが終わったはずだった。
この人との関係だって。
「そうだとしたならよ、とっとと飯だけ食って出て行っただろうぜ」
「…それも…そうですね」
「まーお前が出ていけってならハナシは別だけどよ」
「ち、違います!確かにいつかのあの日は出ていけと言ったかもしれませんけど今は別に、出ていけなんて…!」
「なら、良いじゃねーか。」
どうして私は、それで良かったと納得しているのだろう。
ご飯を食べて栄養補給したらきっとこの人は居なくなる。
そんな考えは違うみたいで、良かったと思う自分が心のどこかに居た。
私はどうして…
「そうですね、もういいです。でもあなたが戻ってきた理由は結局…」
「だからさ、飯食う代わりにお前を守ってやればそれでいいじゃねーかよ」
「………え?」
「おいおい……戦争起こすってハナシ忘れたわけじゃねーだろ?」
「じゃ、じゃああなた、戦争が起きるから…私を心配して戻ってきてくれたのですか?」
「…ったく、しつけーなぁお前も。ハナからそうでもなきゃとっとと飯だけ食って出ていってるって言ってんだろうがよ」
「だっ、だってあなた暁じゃないですか…!な、なのに!」
はじめから…
栄養失調で倒れるまでしてこの人は…戻ってきてくれた。
自分の身も、暁さえも捨てて…
この人はここへ戻ってきてくれた。ここを、選んでくれた。
「なのに私を…守るために…戻ってきてくれたんですか…」
「それが恩返しなんじゃねーのかよ。言っとくけどよ、用心棒やれって言ったのはお前だぜ」
「は、はい、確かに私が言いました…けど…!」
「なら良いじゃねーかこれで」
「………そう、ですね。」
これで良かった。
そう納得してしまったのは、この人が戻ってきてくれることをどこかで自分も待ってたから…
だったりして。
「飛段さん」
「今度はなんだァ?まだなんかハナシでもあんのかよ」
「いえ、お帰りなさい。」
続くかも