プチ連載
□不死身と不思議
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まぁ、向こうが先に騒いでくれたおかげでそのあと乱暴に鳴らした足音は聞こえずに済んでる
焦りすぎだろ。
「ってオレもか…どこ向かってんだこれ」
心あたりがあるのは暁のアジトなんかじゃなくて、あいつの家だった。
ほらな、この道見たことある。
「おいおいなんで戻ってきてんだよ…意味わかんねぇ!」
自分でも意味がわからない。
とにかく無意識に、ぎりぎり覚えてる限りの僅かな記憶を必死に止まらない足が辿ってた。
「暁が戦争起こすって聞いただけじゃねーか…」
もしも戦争が起きたら…
あいつは、誰が守ってやるんだ。
馬鹿みてーに平和ボケして、ふらっと出会ったどこの誰かも知らないヤツを家に置くような…お人好しにも程があるあいつに戦争なんて似合うわけない。
「なんであいつの家に来てんだよ…」
あいつは放ってたら確実に、とばっちり喰らってあっさり死んじまうようなヤツだ。
「気になったわけでもねーのによォ…」
放ってたら死ぬようなあいつを誰が守ってやるんだよ。
「あいつどうせ一人なんだし、誰も居ねぇー方がほんとはいいんだろ」
そうかもしれない。はじめからあいつは一人で暮らしてる。
そうだ。一人なんだよ、あいつは…
「………………オレ、なんて言って顔合わせりゃいいんだ?」
一人ならどうせ…
守ってやる人間も、ここにしか居ねーだろって言えばいいのか?